第8話 さとみ 38歳 アパートオーナー兼スナックママ
太郎は、田舎と比べると、東京は、狭いと感じた。家が、くっついたように立ち並び、家の玄関は、いったい何処にあるんだろうか?こんなにも、くっいていると、間違えて、違う家に入ってしまいそうだ。
駅から、徒歩5分。築40年、3階建てで、1階は、「春夏冬」という名のスナックであった。太郎のこれからの住処となる場所だ。。
部屋の鍵をもらうため、1階のスナック「春夏冬」に入っていった。
太郎「ごめんくださーい」中は、薄暗く、人の気配がない。しばらくすると、お店のドアが開いた
さとみ「ごめんねー!ちょっと、買い物に、行ってて! 太郎君?」
太郎「はい。これから、お世話になります」
さとみ「201号室ね、これ鍵だからね、何か、わからないことあったら、何でも聞いて」
太郎「はい、ありがとうございます」
そのまま、太郎は、201号室に向かい、扉を開けた。ワンルームのお部屋で、お世辞にも綺麗とは、言えない部屋であった。
しかし、太郎は、初めての一人暮らしや、東京の生活に不安と、緊張とワクワク感で高揚気味だった。
(コンコン)ノックの音
太郎「はーい」さとみだった。
さとみ「汚い部屋でごめんね」
太郎「いえ、そんなことないです」
さとみ「そうだ、今日は、うちの店でご飯たべたら?」
太郎「いいんですか?助かります、これからどうしようかと悩んでた所だったので」
さとみ「お店、19時からだから、少し町を探索してくれば?」
太郎「はい」そう言って太郎は、生活用品の買い出しに町に出た。
太郎は、20年前の子供の時と比べて、あまりの変わりように驚きを隠せなかった
。
色々と、買い出しをしていたら、20時を回っていた。さとみのスナックに入ると、サラリーマン風の男性が二人。カウンターに60代くらいの男性が1人。スタッフの女性が2人とお店は、暇そうであった。
さとみ「おかえり~、随分、遅かったわね」
太郎「東京は、見るものが多くて、ついつい」
さとみ「せつかくだから、何か飲む?飲めるんでしょ?」
太郎「少しなら、じゃ、ビール頂けますか?」
東京に来た歓迎の、乾杯をしてもらい、さとみの手料理をご馳走になった。太郎は、なんだか、自分が大人になったような気がした。
「おい、にいちゃん、田舎から、来たんだってな~、東京は、厳しいぞ」
「まぁ~、飲め」
隣の60代の男性の様子がおかしくなってきた。ひどく酔っているようだ。
「さぁ~、飲め、飲め、」
太郎「いや、僕は、あまり、、」
さとみ「あまり、飲ませないで、私が飲むから」と、さとみは、その男性の注ぐ、お酒を、次々と飲み干した。
太郎「オーナー、大丈夫ですか?」
さとみ「大丈夫、大丈夫」と、さとみは、少しも顔色を変えなかった。
店も閉店し、太郎は、自分の部屋に戻ろうとした時だった。突然、さとみは、店のソファーに倒れこんだ。
太郎「オーナー、大丈夫ですか?」
さとみ「やっぱり、飲みすぎたみたい。まいったね~私も歳だわw」
さとみは、嗚咽した。
太郎は、慌ててバケツを、さとみに渡し、背中をさすった。
(さとみは、酔っ払い、砂浜に横たわる。これは夢なのかしら?そこへ、大きな波が押し寄せる。酒に酔ったさとみは、動けない、動けない、大きな波は、さとみを飲み込んだ)
さとみ「いぐぐぐ~~~」酔いの意識の中、さとみに、絶頂がおとずれた。
さとみ「危ない、危ない、意識が飛ぶとこだった」
太郎は、今も、さとみの背中をさすっている。
さとみ「きた、きた、またきた、いぐぅ~~~~」さとみに、2度目の絶頂がおとずれた。おしとやかな、その風貌に反して、動物のような声を上げた。
さとみ「ストップ、ストップ、太郎君、手をとめて」太郎は、さするのを、止めた。
さとみは、完全に酔いがさめていた。かすれた小さな声で「君の手、一体、何なの?」と呟いた。そして、深い眠りについてしまった。
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