第7話 旅立ち
太郎「じいちゃん、ばぁちゃん、行ってくるね」
雅三(祖父)「体に気を付けて、頑張るんじゃよ」
アキ子(祖母)「何かあったら、いつでも帰っておいで」
見送りの祖父母と、新幹線のホームで、お別れをした。
会社より、転勤の辞令が下り、太郎は、東京の子会社に出向となった。上司の山田が、太郎の成長のために、働きかけたと噂になったが、その真相は、定かではない。
祖父母の心配をした太郎は、最後まで悩んだが、8歳まで住んでいた東京に行ってみたいと、興味があり、この転勤を承諾したのだった。
太郎「5番ホーム8時38分 9号車 D403」「5番ホーム8時38分 9号車 D403」
太郎は、何度も復唱する。初めての新幹線であった。太郎が乗る新幹線が、到着し太郎は、乗り込んだ
太郎「9号車 D403窓際」「9号車 D403窓際」「9号車 D403窓際」
太郎「あった、ここだ」太郎が席を見つけたが、そこには小柄な女性が、座っていた。
太郎「すいません。そこ僕の席なんですけど」
小柄な女性「ごめんなさい、まだ誰も座っていなかったので、外が見たくて」
そう言って小柄な女性は、立ち上がり太郎に席を譲った。そして隣の通路側に腰かけた。
小柄な女性「お兄さん、大きいね(笑)」
100㌔近くある太郎が座ると、だいぶ窮屈になるようだ。女性は、明るく、フレンドリーに、初対面の太郎に話しかけてきた。
小柄な女性は、優華という名前で、20歳。茶髪でボーイッシュな髪形が、ニコニコとした笑顔にとてもよく似合う。東京の大学に進学が決まり、春から、東京で一人暮らしを始めるらしい。好きな食べ物は、白米、寿司、嫌いな食べ物は、光物(しめさばなど)とマシンガンのように自分を語りだした。
優華「ところで、お兄さんお名前は?」
太郎「僕は、太郎です」
優華「ギャハハハ、普通。 どこいくの?」
太郎「東京です」
優華「何しに東京へ?」
太郎「仕事で転勤です」
太郎は、人生でこんなにも女性と話した事は、今までになかった。あっという間に東京駅に到着した。
優華「あ~楽しかった、お兄さんありがとう」
太郎「こちらこそ、ありがとうございました」
優華「どこかで、会えたらいいね」と優華は、右手を差し出した。
優華「じゃ~、握手」
太郎「握手?あ、はい握手」
二人は、その場でお別れをした。
優華は、心臓がドクンドクンと、波打つ音が聞こえてきた。
優華「あれ?あれ?何この感じ?」太郎の方へ振り向くと、すでに太郎の姿は、消えていた。
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