第二章 群なす獣たち【ボーナスステージ】
第46話 半年後……
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陰陽馬【エリアボス】を討伐。
100,000EXPを獲得。
レベル68に上がりました。
レベル69に上がりました。
5,000GPを獲得。
エリアボス討伐ボーナスを獲得。
体力+10,000
筋力+10,000
耐久+10,000
魔力+10,000
俊敏+10,000
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エリアボスの討伐により、松江市エリア13が開放されました。
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「ふぅ……今日は汗をかいて無かったから、いい運動になったね、シズク」
「はい、マスター。やはりエリア13のボスは、他と一線を画していますね」
松江市エリア13のボスが消滅したのを見届けると、俺はシズクにそう声をかけた。
エリアボス『陰陽馬』。
コイツは4メートルを超すシマウマ型のモンスターで、二体に分裂して襲いかかってくる厄介なヤツだった。
元々は一体のボスだったのだが、白と黒の二体に分裂した時はかなり驚いた。
中国武術なんかで聞くような気功とか発勁のようなものを使って攻撃してくる上に、二体同時に攻撃しなければダメージを与えられないという中々の難敵だった。
だが、シズクとの連携のお陰もあり、危機的状況に陥る事もなく討伐に成功した。
「やっぱりシズクとの連携が上手くいってるのが大きかった……ありがとう、シズク」
「はい、私もマスターのお役に立てて嬉しいです」
そう言って、シズクは俺になでなでを要求するように頭を前に出した。
その姿に思わず笑みがこぼれる。
絆イベントをクリアする前では想像もしなかったシズクの態度だが、あれから半年が経った今となっては日常の光景だ。
そんな可愛らしい使い魔の要望に答えて、俺は彼女を労った。
「ん──」
気持ちよさそうに目を細めるシズク。
そう、あれから半年の月日が経っていた……
この半年間、俺は中国地方を目指す様にして、西日本側のエリアをひたすらに開放していった。
そうした理由は、東雲咲夜が東日本側のエリアを開放していったからだ。
彼女と合流するよりも、こっちの方がゲームを早く終わらせられると合理的に判断し、俺は他のプレイヤーと組む事はしなかった。
「これで残るエリアはあと二つか……」
俺が金沢市のエリアを全て開放した頃から、あちこちで新たな討伐者が現れ、日本中のエリアは急速に開放されていった。
全てのエリアを開放するには何年もかかると思ったのだが、嬉しい事にその予想は外れたらしい。
そして遂に、エリアは残すところあと二つになった。
「それにしても、やっぱりシズクもエリア13のボスは特別だと思う?」
「はい。私の神通力でも感じている事なのですが、他のエリアボスとは格が違います」
「格が違う、か……」
シズクの神通力による探知能力を手に入れた俺は、ひたすらにエリアを解放していった。
そのお陰で今は島根まで進行し、レベルも68まで上がっていた。
今の俺のステータスはこんな感じだ。
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名前:北原 弓弦
レベル:68
体力:283,425
筋力:312,777
耐久:256,360
魔力:280,254
敏捷:136,423
スキル 0/10
使い魔
称号
「初回10連ガチャで全ての運を使い果たす者」
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エリアボスだけを狙っていたため、レベルは思ったより上がっていないが、討伐ボーナスでステータスの数値は十万を超えた。
そして、エリアボス討伐の過程で気付いた事は、市町村を分断しているエリアの最大数は13だということ。更にエリアが13に分けられているのは、県庁所在地がある市だけだった。
他の市町村は、最大でも12までだ。
つまりは、13と数字の付いたエリアは全部で47個。
これだけでもエリア13がいかに特別かが分かる。そして13のエリアボスは、他のボスよりも圧倒的に強かった。
その県の中核都市だから、その分を難易度に反映させたのだろう。
そう考えると、俺が最初に倒したアビスベアーは、うっかり倒せて良い敵ではなかったのだ。
「あと残ってるエリアは……札幌市のエリア13と和歌山市エリア13の二つか。数日中には全部のエリアが解放されそうだ」
「今から一番近い和歌山に向かいますか?」
「いや、移動時間だけでもかなり掛かるし、一旦レギオンのある中学校に戻ろうか」
最後まで残ったのはやはりエリア13とはいえ、この二つのエリアには今、かなりの討伐数を上げているプレイヤーが既に入っている。
待っていればそのうち開放されるだろう。
長かった……。
ここまで来るのに本当に長かった。
色んな事があったけど、それももう終わり。
これでようやく全てのエリアが開放される。
半年が経っていると言う事もあり、エリアボスの討伐者以外にも、戦う意思を持ったプレイヤーはあらゆる県で見られ、復興も急速に進んでいた。
全てのエリアが開放された時、何が起こるかは分からない。
ゲームは次の章に進み、まだ続くのかも知れないし、そうじゃ無いのかも知れない。
ただ、これで一つの区切りはつくだろう。
「考えてもしょうがないか……とりあえず、久しぶりに渚や紫音にも会いたいし、早速移動しようか」
「はい、マスター。あの……その前に、ちょっとあそこに寄ってもいいですか?」
「ん? ああ、出雲大社ね。いいよ、じゃあ観光しながら帰ろうか」
それにしても、シズクは本当に素直になったな。
××××××××××
そして2日後……
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《ジェネシス・ワールド》
第一部『獣たちの狂乱』編
第一章「エリアボス襲来」
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CWが突如ポップアップして、ゲームの終了が知らされた。
だが、続けざまに画面は切り替わり、新たな文章が現れた。
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《ジェネシス・ワールド》
第一部『獣たちの狂乱』編
第二章「群なす獣たち」
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