4月1日以外ではフィクションを書いても現実化してしまう小説家

アーカーシャチャンネル

とある小説家の悩み

 とある小説家がいた。



 彼は過去に何作か小説を書き、名前の方も知られている存在だったという。


 しかし、小説の内容が現実化してしまうという事で、そこから彼は小説を書くのを考えるようになってしまった。


 フィクションの作品を模倣したような犯罪が後を絶たないような風潮もあってか、この状況を彼は楽観視できないでいる。


 彼の場合はそういった犯罪などの面ではないのだが、拡散の傾向がどうしてもそれに近いこともあって、悩んでいたのだろう。



 それからはシナリオ原案やキャラクター原案、原作担当と言った所で創作にはかかわっていくが、小説は未だに書けないでいた。


 同業者からは「パクリとか言われたわけではないので落ち着いてほしい」とは言われているが、彼としてはどうしても気になって、越えなくてはいけない壁になっていたのである。


「ああは言われているが、どうしたらいいのか」


 同業者のアドバイスは聞きつつも、拡散の仕方を踏まえてもネガティブな感情しか持てないでいる。


 収益的な部分で言えば、シナリオ原案などで何とかなっているので問題はないのだが……。


 炎上作家とは言われていない一方で、どうしても腑に落ちない部分はあった。


「これは……?」


 ノートパソコンで何気にアイディア探しをしていた彼の目に入ったもの、それはとあるものをテーマにしたコンテストだった。


 これならば、と思った彼は小説を久々に書く事にする。全ては、執筆スタイルを変えるために。



 後に、彼の投稿した小説は別の形でまとめサイト経由の拡散をする。


 例によって炎上させてアフィリエイト的なもうけを得たいという、一部の勢力によるものだった。


 しかし、今度は拡散して炎上するどころか、まとめサイトの管理人の方が炎上する羽目となり、サイトの管理人が逮捕されるニュースが国営放送のニュース速報で出るレベルだった。


 何故に彼らは炎上させることに失敗したのか? その理由は単純だった。


 彼が書いた小説、それはエイプリルフールをテーマにした小説だったからである。


 エイプリルフールである以上、それが真実とは限らない。


 有名企業のコラボネタでは現実化した物や、エイプリルフールだったと思ったら本当だったものはあるだろう。


 悪意ある炎上が、昨今の社会問題となっている以上、エイプリルフールとはいえ付いていいウソと付くべきではないウソを考えなかった結果、まとめサイトが炎上したと言えるかもしれない。

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