第10話【D&Dがよくわかる本】

 『D&Dがよくわかる本 -ダンジョンズ&ドラゴンズ入門の書』(黒田幸弘氏)。

 これは『ファンタジー・ファイル』シリーズの第三弾として、昭和62年(1987年)7月30日に初版が発行されました。なので、実際は6月下旬頃だったのではと思われます。お値段は480円(消費税無し!)で表紙・裏表紙合わせて390ページほどでした。

 因みに第一弾は『モンスター・コレクション』、第二弾は『ホラー・コレクション』でした。どちらも買っていません。


 この『D&Dがよくわかる本』は、自分が最初に買った『ファンタジー・ファイル』シリーズの本でした。当時はまだ『D&D』など高額で手が届きませんでしたし、せめてどんなものであるのかだけでも、中学生になったばかりの自分は触れておきたかったのです。

  

 内容は『D&D』の解説本です。現在の『D&D』がどのようになっているかはわかりませんが、翌年の始めに手に入れたルールブック(赤箱&青箱)は、とてもわかりにくいものとなっていました。

 改めて開いて確認しましたけれど、やっぱりわかりづらいです。単純に、ルールを教える並びがおかしいとだけなのだろうと思います。

 当時はそこまで気づきませんでしたが、今に思えばそういうことだったのでしょう。


 ルールブックがわかりにくければ、当然流行ってくれません。ましてや1987年当時、4,800円もしたわけですから、不満に感じるゲーマーも多かったのではないでしょうか?

 そうしたこともあって、この本が作られたのではないかと思います。

 実際本書の後ろには『D&Dの遊び方をわかりやすく解説したもの』と但し書きが記されています。

 この本を片手に、実際のルールブックを広げてキャラクターを作り、プレイを行った人たちも多かったのではないでしょうか?


 またゲームの雰囲気を味わうため、途中からリプレイが掲載されていました。実際にプレイしたものが基になっているのかはわかりませんが、TRPGのリプレイが本の形になった最初の一冊目ではないでしょうか?

 だとすると、歴史的な一冊とも言えるわけです。


 更にこの解説本には色々なイラストも掲載されています。小出拓氏、幡池裕行氏と共に90年代、黎明期のファンタジー系コミック・イラストを彩ったお二人のイラストです。

 ここで可愛らしい女性エルフのイラストが登場している(小出拓氏の作と思われる)のですが、既に今のエルフのイメージにかなり近いです。瞳も大きく、巨乳ではありませんが一般的な女性らしい体型かと。

 比較的早い段階で日本人向けのエルフのイメージが出来ていたのだろうと思います。


 この『D&Dがよくわかる本』は、恐らくヒットしたのだろうと思います。のちに『〇〇〇がよくわかる本』と言ったタイトルが、色々と発売されることとなりました。

 富士見書房以外からも一部出ていましたが、関係者どうしのつながりがあったから、それも可能だったのでしょうね。


 今でもヒットしたタイトルにあやかって、似たようなタイトルをつけるのが多いですが、ライトノベルなどその典型になってしまいました。

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