ボクは彼女の相談役(スパイ)をしていただけなのに
イコ
序章 ボクは彼女の相談役(スパイ)をしている
愛香高校三年一組はクラスメイトの仲がいい。
教室に入れば誰にでも挨拶をする。
それは当たり前のことだけど、今までの僕ではあり得なかった。
ただ、例外はある。
「おはようございます。聞いてください! レン君」
「……」
廊下側の端にある席で本を読んでいると、学園一の美女が前の席に座っていきなり話しかけてくる。
彼女が話しかけるのは僕だけだ。
隣の席を見れば、ニヤニヤとした親友が笑顔を浮かべている。親友の態度に深々と息を吐く。
親友からは、「ちゃんと話を聞いてやれよ」と言わんばかりの視線を向けられ、ボクは諦めて美女の話に耳を傾ける。
別の日。
「あ〜、レン先輩! こんなところにいた。聞いてくださいよ! あの技が出来なくて」
「ハァ」
静かなところで食事をしたくて、隠れてランチを食べているところに、小柄で小動物のような見た目をした美少女が大きな声を出して近づいてくる。
二年後輩に当たる美少女は、友人に別れを告げて僕の方へスケボーに乗って走ってくる。
彼女の友人たちは、僕の方にやってくる美少女に「頑張れ」と声援をかけていた。
何を頑張れというのだろうか?
週末になれば自宅で。
「レン! 姉さんと買い物に行くわよ!」
「……」
大学でミスコンに輝いた従姉妹の姉さん。
僕の部屋に勝手に入ってきて叩き起こされる。
休みに荷物持ちとして駆り出されて、一緒に週末を過ごすことになる。それは別に嫌なことじゃない。姉さんには何かと世話になっている。
だけど、どうして彼氏と行かないのだろう。姉さんほど美人なら、彼氏なんてすぐにできるだろうに。
従姉妹だから、家族なので従うけど。
三人から少なからず、嫌な感情を向けられていないのはわかる。だから、誘いを僕は断らない。
彼女たちのことは嫌いじゃない。
だけど、僕には心に決めた好きな人がいる。
放課後になれば。
「レン、聞いてよ。彼氏がね」
「……」
僕の好きな人が、僕の前で彼氏の話を相談してくる。
「またか、だから前に行ったよね? 男はね」
「あ〜やっぱりそうだよね。レンに相談してよかったよ」
意気揚々と立ち去っていく彼女の後ろ姿を見て、僕は頭を抱える。
好きな人には彼がいる。
僕は彼女の相談役(スパイ)として、仲が良い男友達を演じている。
どうしてこんなことになってしまったのか?
それは僕らの出会いに遡る。
♢
僕、
高校二年は、知らないクラスメイトたちに僕は馴染めていなかった。
他のクラスには友人がいるけど、僕はあまり話すことが得意ではなく。
結局話かけてくれたのが、彼女だけだった。
だけど、僕にとってそれは幸せな時間で、彼女がいてくれたから楽しい一年になった。
クリスマス前の12月初頭。
図書室でテスト勉強をしていると、暖房の効いた部屋で居眠りをする相原さん。
無防備な寝顔を可愛いと思ってしまった。
それは僕が初めて彼女を女性として、意識した瞬間であり、初恋を経験した。
それから今まで、僕はこの想いを胸の中へ仕舞ったまま彼女に接している。
「あれ〜? 私寝てた? ごめんね。ちょっとテスト勉強で寝てなくて」
「ううん。大丈夫だよ。ここって暖かいからね」
僕はあまり明るい方じゃなくて、運動も得意じゃない。勉強は嫌いじゃないから、やっているけど、得意というわけじゃない。
「勉強教えて!」
そう言って手を合わせる相原さんの頼みを断ることができなくて、テスト範囲をいっぱい勉強した。
「ありがとう〜、レンくんは優しいから好き〜」
簡単に好きと口にする相原さんはいつもノリが軽い。
今までの僕なら、気にしないでいられたのに好きだと自覚してからは、ドキドキが止まらない。
テストが終われば、僕は相原さんに告白しようと思っている。
明日でテストも終わり、だから、明日。
「ハァ、ねぇねぇ聞いてよ。テストも最後だっていうのにさ。動揺することがあったんだよ」
「うん? 何があったの?」
「それがね。告白されちゃった」
「えっ!」
「実は、私に彼氏ができました!」
それは僕にとって衝撃的な事実だった。
告白をする前に、別の誰かに告白をされて受けただって!
好きになって告白する前に、彼氏ができたって言われるなんて、そんなのってないよ。
「おっ、おめでとう」
「うん! ありがとう。だけど、初めての彼氏だから男の子のことなんてわかんないよ。レン君なら優しいからわかるんだけど。これから色々教えてね。友達として」
「うっ、うん。なんでも聞いてよ。相談役になるよ」
こうして、僕は彼女の
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あとがき
どうも作者のイコです。
ラブコメが書きたくなったので、思いつき投稿です(๑>◡<๑)
面白いと思ってもらえたら嬉しいです。
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レビュー。
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コメント。
お待ちしております。
どうぞよろしくお願いします(๑>◡<๑)
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