第4話 白竜との戦いです!


「シュガー殿、白竜『ヘドナ』は手ごわい。どのように討伐するのでしょうか?」


 帝都からシュガーの自宅に戻る道中、フィルが尋ねた。


「貴方たちがゴーレムと呼んでいる、機械人形ロボット。私があれに乗って戦います」


「分かりました、ですが私も同行させていただきます」


「……どうしてですか? 貴方は戦えないのではありませんか?」


「私だってそれなりに剣術の心得はあります。並みの兵士には引けをとりませんよ……そして――」


 フィルはシュガーに慈しむような瞳を向けた。


「シュガー、貴方は『ヘドナ』を弱らせてくれるだけで良い。とどめは私が刺します。動けなくなった白竜の首くらいなら斬れる。卵も私が破壊しましょう。そして、国王には貴方が討伐したとお伝えください」


「…………」


「短い付き合いですが、貴方の事は分かります。きっと、心に傷を負うでしょう。ですから、トドメは私に任せてください」


「……討伐は明日向かいます。私は家でゴーレムの調整をします」


「それでは明日。邪竜『ヘドナ』のいる嘆きの丘で落ち合いましょう。夕方頃であれば間違いなく巣にいるはずです」


 そう言って、フィルはシュガーを家まで送ると王都へと帰っていった。


 リオの言葉をシュガーは家で思い出しながら考える。

 

 そして、明日の白竜との決戦に向けて自慢のゴーレムに手を加えていった。


       * * *


 ――翌日。


 待ち合わせ場所である嘆きの丘の上。


 シュガーはフィルと落ち合った。


 フィルはやや駆け足で、シュガーは巨大な猫型ゴーレムに乗って進んでいくと、夕日が地平線に沈み、空が暗くなり始めた。


 シュガーが乗っているこのゴーレムはトニオ王国を取り囲んだロボットのうちの一体だ。


「いました、『ヘドナ』です」


 猫ゴーレムに乗っているため、遠くまで見渡せるシュガーが先にその姿を見つけると、フィルはうなづいた。


「承知いたしました。私は少し離れていますね」


 白竜も猫ゴーレムに気が付くと空高く舞い上がり、轟音を立てながら襲いかかってきた。


 シュガーは、猫ゴーレムの背中にしっかりとしがみつきながら、その腕を操って白竜に対抗する。


 白竜は口から氷の息を吹きかけ、猫ゴーレムの動きを封じようとした。


 しかし、シュガーは魔法で防壁を張りながら、猫ゴーレムの腕を振り上げる。


 ――その瞬間、シュガーは白竜の目に涙を見つけた。


「ネコパンチ」


 鋭いスナップを利かせた巨大な拳――鉄の塊が白竜の首の後ろを捉えた。


 勝負は一瞬、その一撃で意識を刈り取られた『ヘドナ』は眠るように意識を失う。


 シュガーはフィルに右手でブイサインを出す。


「……終わったよ」


「あぁ、見事だとしか言うほかない」


 白竜は気絶した。


 しばらくは意識を取り戻すことはできないだろう。


 そして、そこから丘の向こうへと歩いた位置には白竜のものと思われる複数の卵が少しくぼんだ土の中に埋まっていた。


「……それでは、後は私にお任せを」


 フィルは腰に差していた大太刀を抜いた。

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