第3話 恋都莉
俺の呼び方か。
「別に好きに呼んでくれよ。望月でもいいし、
「…………」
まぁ、初めて名前を呼ぶのはなんだか照れ臭いもんがあるよな。
「俺はお前のことを
他の2人が名前だからな。こいつだけ苗字ってのもおかしいしな。
「
「
「じゃあ、
ふむ。
彼女は同学年だからな。呼び捨てでもいいだろう。
「君付けだと、なんだか遠いし。私らしくないかもしれない。だから呼び捨て」
「んじゃそれで頼む」
「うん」
「あーー。なんかそれってどうなの?」
「そ、そうですよぉ。なんかちょっとねぇ」
ん?
「何か問題でもあるのか?」
「いや……。問題っていうか……」
「えへへ。そうですよね。問題っていうわけじゃないんですけどね……」
歯切れが悪いな。
「お前たちは
2人は彼女を見た。
「
そして俺を指差す。
「
これで判明した。
同学年は呼び捨てタイプだ。
「2人ともスッキリしたか?」
「うーーん」
「そ、そうですねぇ……」
「なんだよ?
「問題っていうか……」
「そ、そうなんですよ……問題っていうか……」
「ん? ハッキリ言えよ」
「だってなぁ?」
「ですよねぇ?」
「だから、なんだよ?」
「こ、こ、恋人みたいじゃんか」
「で、ですよ!」
はぁ?
「何言ってんだよ?」
「他意はない」
「ほらな。呼び方だけで妙な勘繰りはよせ」
「「 ぶぅ〜〜 」」
やれやれだな。
「
「おお。サンキュ。でも気を使わなくてもいいぞ?」
「家。あげてもらうから。こういうのは礼儀」
「そか。んじゃもらおうかな」
「うん。好きなの選んで」
スーパーの袋にはたくさんのジュースとお菓子が入っていた。
「随分、買い込んだんだな」
「
「やった。
「うわぁ。プリンが入ってますよ!」
「みんなで食べようと思った」
「あれ? でもプリン3つしかありませんよ?」
「あ……」
と、やっちまった感。
「私はいいからみんなで……」
やれやれ。
「いや俺のはいいよ。自分のが冷蔵庫にあるしな」
「でも……」
「気にすんな」
「ご、ごめん……」
さて、今日もラノベかな。
「
「ああ。いつものことだ」
「そっか……」
「まぁ、気が向いたらリビングに行くから」
「うん」
女子たちは楽しそうにプリンを食べる。
「んじゃあさ。今日は
「うん。でも私。ゲームやったことない」
「あーー、だったら金鉄やりましょう!」
「なんだろう、それ?」
「金太郎鉄道の略称です。スゴロクゲームですよ。対戦ゲームは
「うん。やってみる」
ふむ。
打ち解けてるみたいだな。
少しすると、扉越しに3人の笑い声が聞こえてきた。
よしよし。
しばらくはゆっくりと読書を楽しむとしよう。
本の半ばまでくるとキリがいい。
よし、隣りに行くか。
「あ! 先輩も参加ですか?」
「うん。ちょっと読書も区切りがついたからな」
テレビ画面はまだ金鉄か。
今日は金鉄の日だな。
「誰が勝ってるんだ?」
「
へぇ。
「運も実力のうちか」
「うん。私。敵なし」
「ははは。よし。んじゃ次は俺も参加する」
「
「ふむ。言うじゃないか」
「このゲーム面白い」
プレイスタート。
「ああ。今回も絶好調。やっぱり私が最強」
「よし。そんなおまえにキング貧乏神をプレゼントしてやる」
「容赦ない」
「あはは! ウケる!!
「まだ負けたわけじゃない」
1時間後。
ゲームは終盤に突入する。
「やったぜ!
「酷いですよぉ。結局私が貧乏神を擦り付けられて最下位じゃないですかぁ」
「
「えええ? いいんですか? も、貰ってくれるならぁ」
「うん。んじゃあ、それを
うむ。
「では、最後に俺から
「ちょ、ちょっと連携プレイ??」
結局、
「ちょっとぉおお!
「悪銭身につかずだ」
「ふえええーー」
「「「 ははは!! 」」」
「も、もう一回よ!!」
「もうそんな時間はありませんよ」
「んじゃあ対戦を少しだけやろうよ! ね?
「うん。やったことないけど」
「大丈夫。優しく教えてあげるからな。ぬふふふ」
「あ! 気をつけてください
「そ、そんなんじゃねぇ!」
ふむ。
「
「ええええええ!?」
「あはは! それナイスアイデアですよ!」
「ちょ、それじゃあ
「「「 はははーー! 」」」
時間は溶けるように過ぎた。
「勝った」
「ちょ! りょ、両手なら勝てたんだからな!!」
「うん。でも、私が勝ったのは事実」
「うへぇ」
「「「 ははは!! 」」」
夕方6時。
俺の家は閉店する。
「今日。ありがと。すごく……楽しかった」
「ああ。気をつけて帰れよ」
「うん」
その時。
その瞬間、彼女の顔色が変わった。
電話越しの彼女は初めて出会った時のように悲しい顔つきになる。
「何?」
「どこ行ってるの?」
「友達の家。今、帰る所だから」
「何時だと思っているの? 帰るのが遅いわよ!!」
「すぐ帰るから」
「急いで帰ってきなさい!! 走って帰って来なさい!! 命令よ!!」
「……できる限り急ぐから」
「あなたは女の子なのよ!! すぐに帰ってきなさい!!」
「わかったから……怒鳴らないでよ」
「あなたのために言っているのよ! 全てあなたのためじゃない!! お母さんはあなたのためを想って言っているのよ!!」
「わかったから……」
「命令よ。すぐに帰ってくるように!」
「わかったよ……」
そう言って電話を切る。
彼女は俺に会釈をして帰って行った。
なんだか闇が深そうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます