多すぎる、デルトモアボウストゥール

エリー.ファー

多すぎる、デルトモアボウストゥール

「このダンジョン、やたらデルトモアボウストゥールが出てきますね」

「何なんだろうね。特に目立ったモンスターじゃないのにねデルトモアボウストゥールって」

「経験値も少ないし、アイテムも出ないし、倒すだけ無駄っていうか」

「その上、デルトモアボウストゥールって、マップ上のデバフもかけてくるから、害悪モンスター、そのものじゃないですか」

「デルトモアボウストゥールって、仲間にできるんだっけ」

「できないですよ。ザコキャラじゃなくて、中ボスなんで」

「中ボスなのに、こんなに出てくることってあるっけ」

「バグよ。バグ」

「最悪じゃないですか」

「どうします。ダンジョン出ますか」

「いや、結構、進んじゃったしなぁ」

「一番奥って、何があるんですか」

「えぇと、黄金銃ですかね」

「まぁ、装備としての価値は高いか。売ってもいいなぁ」

「さて、どうしましょうか。帰るのも一つですよ」

「このあたりに、別のダンジョンってあったっけ」

「ないよ」

「ないのかぁ。ないとなると、えぇと、どうしましょうか。なんていうか、結構、選択肢が狭まりましたねぇ」

「街に戻りますか。体力もないですし、全滅はさすがに避けましょうよ」

「でもなぁ。宿屋に泊まるのも金がかかるしなぁ」

「全滅して教会に行っても、金はかかりますよ」

「仰る通り」

「さて、どうしましょうかね」

「アイテムはどれくらいあるの」

「薬草が十六。ポーションが三。ブルーポーションが九つ。レッドポーションが四つ。ホワイトポーションが三十。木の実が四つ。スターフルーツが十一。クラウドフルーツが六つ。ローズフルーツが一つ。パープルフルーツが六十。ブラックチェリリズが四つ。星花火が一つ。ダイヤモンドページが二つ。ショートチャックナイフが一つ。ショートチャックナイフボムが四つ。グラスワンが三つ。グレイトポイズンが二つ。クレイマンが七つ。ホーリーウォールが一つ。ホーリーウォールベガが二つ。ホーリーウォールマキシムが五つ。ダークメリーディスクが一つ。ダーティーグラスが二つ。チップワードが一つ。バードウォーカーが三つ。ハードヴィグが八つ。ローカルフォークが三つ。ヴェークモデレイが九十九」

「ミンダラはないのか」

「ミンダラはありません。一昨日のダンジョンで使いきりました」

「危険だな」

「撤退に一票」

「私も撤退に一票」

「じゃあ、僕は三票」

「一人、一票です」

「じゃあ、一票」

「いやいや、ここまで来て帰るなんてダサいって、ダンジョン踏破に一票だね」

「わしも、踏破に一票」

「拙者も先に進むべきと考えるでござる」

「あたしも、帰る気はないねぇ。踏破に一票かな」

「何が踏破だ。馬鹿馬鹿しい、撤退だ、撤退」

「馬鹿馬鹿しいかはともかくとして、撤退が最適解かと」

「進むのもありだぜ。撤退だって、安全とは言えねぇだろ」

「分かった、多数決をとろう」

「まぁ、それがいいですね」

「先に進むべきだと思う者、手をあげてくれ。なるほど。次に、撤退すべきだと思う者、手をあげてくれ」

「六票と六票で同数ですね。あぁ、どうしましょうか。面倒なことになりましたね」

「いや、待ってくれ」

「はい、なんでしょうか。意見を変えますか」

「そうじゃない。そうじゃなくて。その、このダンジョンはパーティーの人数制限があるんだ」

「あぁ、そうでしたね」

「このダンジョンのパーティの人数制限は三人までだ」

「え」

「終わった。もうダメだ。俺たちは、もう餌食になっている」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

多すぎる、デルトモアボウストゥール エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ