それでも天国に憧れる

勇気を出して一歩を踏み出したら

夢は呆気なく崩れ去り酷い現実が幕を開けた

それなのにどうして伝えようとするの

ただそばにいられればそれでよかったはずなのに


ただ好きになっただけなんてまるで言い訳のよう

一体この感情は何のために生まれたのか

何をどう努力しようがこの夢はこれ以上叶わない

この想いが届かないならもう何もかもどうでもいい


あなたと二人で街を歩く

すれ違う女があなたを見る

その度に全てを一つ一つ諦めた

それでもそばにいられれば

幸せだったはずなのに


あなたの笑顔も優しさも

全部彼女のものだった


手を繋ぎたい 腕を組みたい 並んで歩きたい

隣にいたい そばにいたい 二人でいたい 一緒にいたい

抱き合いたい キスしたい セックスがしたい

あなたの笑顔が見たい

あなたしかいらない あなたしか欲しくない

あなたじゃなきゃ嫌なんだ

あなたが他の誰かと結ばれるなんて耐えられない

なのに俺は何もできない

それならいっそ消えてなくなりたい!


いつだってささやかな期待を幸せのように思い込んだ

いつだってそれがただの幻想なのだと思い知らされた

いつだって一生懸命好きだったけど––––


ないはずの幸せをそこに求めていた

そばにいられるだけでいいなんて嘘っぱちだ

本当はいつだってあなたの特別になりたかった


この恋が叶うなら、悪魔に媚びることだってできるのに

奇跡なんて起きないとわかっていてもいまだに奇跡に取り憑かれている


恋がしたかった

あなたの愛に俺の存在を刻みつけたかった

あなたに世界一大切なものに思われたかった

恋は信仰だった

あなただけが神だった

それでも救いがないことはわかっているから

心を壊したい


“あなたといたい”

そう想うことに、何の意味があるんだろう

好きなのに

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