転生したら速攻で殺されそうになったので、森の中でひっそりと生活しようと思ったのだが、いつの間にかハーレム状態になっていた
にがりの少なかった豆腐
知らない場所ですね
1 good morning new me
ここはどこなんだろうなぁ。
見渡す限り、うっそうとした森。視界には樹と樹々の隙間から見えるほんの少しの空と地面を覆う植物しか存在していない。一応動物らしき存在の鳴き声は聞こえるから、何もいないわけではないようだが、少なくても見える範囲に動くものは存在しない。
自分の記憶が正しければ、歩道に突っ込んできたトラックにはねられたところだったと思うのだが、本当にここはどこだよ。
目印になりそうなものは一切ないし、人工物だって見えない。そもそも樹々が密集しすぎていて空すらほとんど見えないのだ。
本当にどこなのか見当もつかない。スマホがあればGPSを使ってどのあたりなのかが分かったのかもしれないが、残念ながら今の手持ちにそんなものはなかった。
それどころか、服すら着ていない状態だ。
本当にどこに落としてしまったんだろうなぁ。
「すぅ……」
少しでもリラックスすれば状況が改善するかもしれない。ただちょっと頭の中が混乱していて、無意識に知らない場所に来てしまい服を脱いでしまったのかもしれない。
「はぁ……」
……いや、もう現実逃避をするのはよそう。無意味すぎる。
周囲に生えている樹は明らかに見たこともないものだ。妙に艶のある樹だったり、デカイとげが無数に生えている樹だったり、幹が奇抜な色だったりと、今まで住んでいた場所では一切見たことのない樹ばかりだ。
そもそもネットですら見たことがない。
森の中に響いている動物の鳴き声はおどろおどろしいものも混じっている。中には聞いたことがあるようなものも聞こえてくるが、時たまグルグル肉食獣が唸るような鳴き声も聞こえるし、ギョゲェみたいな鳴き声の主が想像もつかない鳴き声も聞こえる。
どんなに記憶を辿っても俺の知っている場所にこんなところはない。
極めつけが俺自身だ。
何も持っていないどころが、少し前なら職質どころか逮捕されかねない全裸という状況である。しかし、そんなものは些事でしかない。
腕を動かしそれを見る。
視界に映るのは毛むくじゃらの腕。それと鋭い爪が生えている手。どう見ても人間のものではない。
脚を動かしそれを見る。
視界に映るのは毛むくじゃらの脚。足のつま先にある爪は手と同じように鋭く尖っている。どう見ても人間の脚ではない。
見えない範囲の体を触ってみる。
どこもかしこも毛の感触が手に伝わってくる。毛深いを通り越してふさふさである。
そして極めつけが、最初から視界に映っている鼻先。明らかに人の形ではない上にここにも毛が生えているのが確認できる。
念のため触って顔の形を確認する。
残念ながら鏡はないのでちゃんと確認はできないが、これはどう考えても人ではないだろう。全身の毛、爪の尖り具合、そして触った感じの顔の形。
これは俗にいう獣人というものではないだろうか。
うん。まあ、なんだ。まだあり得ないと脳が理解を拒んでいる部分もあるが、要はそういうことなのだろう。
どうやら俺は異世界転移……しかも獣人として転生したらしい。
―――――
今日はあと2話12時と21時に更新します
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