第590話 取り戻した平穏

それから暫くは何のスクランブルも掛からずに平穏な時を1ヵ月程過ごした。


これで全て終わりかと思ったのもつかの間、俺達は再びスクランブル招集を掛けられて仕舞ったのだった。


前回同様に『送り狼作戦』を続行する為に、圧倒的な戦闘力を見せ付け態とUターンさせて、ジュンペイに後を付けさせる。こんな事が3回程あって、漸くある程度の規模のコロニーに行き当たってそれを全力で叩いて後始末をして帰って行く。


心が荒んで行くのが自分で判るがこればかりはどうしようもない。



そして、漸くスクランブルが掛からなくなるのであった。



俺は未だに夜に魘されると言う若い兵士達の心の葛藤や愁いを取り払ってやろうと思うって、新しい精神魔法の考案に着手したのであった。


『リフレッシュ』と『リラックス』である。一時的な記憶の操作も考えたが必要な記憶まで消して仕舞いそうなのでそこには手を付けずにトラウマだけを消す事に成功したのであった。


実権は自分やジュンペイで行って効果があったのを確認済みである。


こうして作戦に従事した者達を王宮の訓練場に再び集め不安がる彼等全員にリフレッシュとリラックスを掛けて廻ったのであった。


効果は直ぐに感じられた様で、魔法治療を施したほぼ全員に泣いて喜ばれたのであった。




こうして長引きに長引いたローデッシュ王国の一件は携わった者の精神的なケアまで含んで一応の決着がついたのであった。




さて漸く我が家に訪れた平穏に気を良くした俺とジュンペイはナツキちゃんも一緒にアルス君の魔物狩りにお出かけして長閑な時を謳歌するのであった。


そしてある程度のレベルに達したと判断した俺達はアルス君により強い魔物が出て来る王都のダンジョンに連れ出したのであった。


思った通りアルス君はダンジョンでも地通用するレベルまで上達してて魔法を駆使したり有るときには剣で魔物と対峙して怯む事無くやっつけてしまうのであった。


尤も総魔力量の問題も在るので、そう長時間ダンジョンアタックが出来る訳で無いがその魔力枯渇までの範囲で上手く魔力をセーブしつつ出来る限り魔物を討伐するその姿に将来性を感じ祖父として誇らしい気持ちになるのであった。




さてローデッシュ王国の一件の熱りが覚めた今日であるが、我が国の国境戦には厄介な隣国と接している地域も結構沢山あったりする。


そう言う地域にはローデッシュ王国との国境線と同様に砦によって見張られて居るのであるが今回の一件で安価で短納期で建築出来る監視塔の建設を王宮の方では検討して居るらしい。


我が家としてはお金になるのでウェルカムであるが、前回のローデッシュ王国との大戦だって収支で考えると戦後の賠償金を取れた訳で無いので赤字である。

そんな時に大盤振る舞いして監視塔を幾つもの国境戦に建築して大丈夫なのだろうか?と心配になって仕舞う俺であった。


その旨を宰相閣下に尋ねてみると、俺の所の商会のお陰で税収が上がって居るので、今の所この平穏にお金を掛けて維持していくのが正しいとうしであるとの返答であった。


そうと決まれば話は早い。


俺と魔法部隊の建築組はジュンペイを監督とする組と複数に手分けして一斉に監視塔の建築に取り掛かるのであった。


2ヵ月掛かりでオーダーのあった30箇所の監視塔の建築を終えてそれぞれ国軍に引き渡して無事に報酬をゲットするのであった。


平穏な我が国の王家では第二王子の誕生の慶事に沸きに沸いており、各国の親善大使がそのお祝いに駆けつける等と王都も俄に賑やかになるのであった。


しかし他国からの親善大使の全員が全員常識の通じる良識をもちあわせているかと言ったらそうではない。


選民意識の高いお国柄の大使御一行には良からぬ人物が紛れ込んでいるのが世の常である。


そんな訳で、親善大使と言う名のトラブルメーカーが王都で引き起こすトラブルに我がオオサワ商会の高級レストランやミノ亭も巻き込まれてそのカスハラ対応に折角孫のアルス君との至福の一時を邪魔されるのであった。



とは言っても、ケツ持ちの俺が行かないとスタッフが可哀想な事になるので、親善大使が王都に在留している間は俺か、ジュンペイの何方かが直ぐに急行出来る様に待機しているのであった。

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