第468話 王都へ その1

事前に調べた王都への道に従って街道上を西に向かう俺。


この世界初の空の旅に心を躍らせつつ自由な空を満喫する。


ドルビーから西に進路を取って進むこと早2時間。隣の領主であるマケイン子爵の街が見えて来た、このまま上空を通過して、西に進んで行くと途中で道が分かれており、その分岐を北方面に方向転換して北上して行く。


更に3時間飛んだ所で初日は終了である。


迎えた2日目、昨日の続きから上空に上がって北上を続ける。



暫く飛んで居たら、盗賊に襲われて居る一団に出会ってしまった。どうしようか。ここで助けないと悔いが残りそうなので、スルーはしたくないが、問題は助けた後の面倒なやり取りを避けたいと言う事である。



とは言え、馬車の一団の護衛に負傷者が出てヤバそうなので、緊急制動を掛けて地上に降り立ち、隠密モードを解いて、

「援助は要るか?手助けするぞ!」と宣言して、盗賊と護衛の冒険者の間に入ったのであった。

「ああ、頼む」と冒険者パーティーのリーダーと思しきお兄さんが短く叫んで、俺の方を見て子供と思って少しガックリした様な顔付きになったのだった。



まあ来しただろうだけに気持ちは判るが、それは些か失礼過ぎやしないだろうか?と俺は抗議したいところで合ったが、昔の前世の1シーンを思い出しつつ懐かしい気持ちになりながら、魔弾で、居並ぶ盗賊10名の方や足を撃ち抜いて瞬時に戦闘力を奪って行くのであった。



「ありがとう。あんた強いな!驚いたよ。言いそびれたが、俺は護衛の冒険者で『アンダルシアの暁』ってパーティーのリーダーやってるランザって言う者だ。」と握手を求めて来るランザ。


「マルクだ。丁度通りがかっただけだ気にしなくて良い。負傷者が居たが、ポーションはあるのか?」と訊くと苦い顔をして首を横に振るランザ。


まあ乗りかかった船だし、と思って序でに回復ヒールで治療して置いたのだった。


そして、面倒な盗賊の処分を任せる前に拷問・・・いや丁寧にアジトを聞き出して処分はランザ達に任せて俺は奴らのアジトに盗賊の1人を治療して案内させてアジトに向かうのであった。


「先に言って置くが騙して逃げようとしても、苦しい痛みの時間が増えるだけだからお薦めしないぞ。さっきの痛いコースを何周でも味合わせてやるから素直にお手を案内した方が良いぞ。」と脅してヤルと

先程の何度も魔弾で足を撃ち抜いては回復して再度魔弾で撃つを繰り返したお陰で実に素直にアジトまで俺を案内するのであった。



30分程の道程で街道から外れた崖の麓にある洞窟へと俺を案内した盗賊の1人だが、「見張りは居ない。」と言って置きながら、アジトの近辺まで来た時に、罠を態と踏んでカランカランと鳴らして見張りの盗賊に警告を発したので、網ここまで来れば用は無いのでスパンと首を刎ねて置いた。



洞窟の中から2人のむさ苦しい男が飛び出して来たので、魔弾で額を撃ち抜いて処理して置いた。先の道案内の男とこの2人を纏めて穴を土魔法で開けて放り込んで燃やして埋めて置いた。


さて、アジトの洞窟探検である。洞窟内は薄暗く、空気が淀んでいて饐えた匂いが漂っている。


中に入って奥へと向かうと、ちょっと大きなホールが在って、そこにお宝の山が置いてあるのは良いのだが、何とそこには、ロープで手足を縛られた10歳位の女の子と同じ年頃かやや上ぐらいの男の子が薄汚れた状態で転がされて居たのだった。


これはちょっと予定外である。


「俺は冒険者のマルクだ。助けに来た。」と言うと、

「アリーシャ、やったよ!助けだよ。」と少年の方が呆然として居る女の子に声を掛けたのだった。




俺は2人のロープを解いてやって、クリーンと回復を掛けてやってまずは綺麗にしてやった。男の子の方がかなり怪我をしていたので、状態的に暴行を受けて居たことが覗える。


対してアリーシャと呼ばれる女の子の方は、売り物にしようとしたのか、幸いにも一切手を出されて居らず、このデビーと言う少年が身体を張って守っていたのが覗えた。



空腹を抱えて居る2人にまずは食事をだしてやって、お宝をセッセと回収したのであった。



そして、一息付いた所で話を聞くと、2人は別々の馬車の一団に乗って居たところを襲われて奴隷要員として連れて来られたそうである。

幸いだったのはもう少しで出荷される所だったらしい。


この世界にも奴隷は居り、隷属の首輪で奴隷となったら既に人間と認められず人権もなくなると言う胸くその悪い制度である。


つまり、2人は元々の知り合いでも無くてここで初対面したらしい。更に王都に向かう途中での事件でとらわれの身となり2人共に身寄りが無いらしい。


なので働き口を探しに王都へと向かっていたと言う。


これは有る意味俺に取っては好都合かも知れない。


其処で俺は2人にとある提案をしてみた。



「俺は今王都で商会を立ち上げて出店する為に向かって居る最中なんだが、信用出来るスタッフを王都で募集しようと思って居たんだよ。どうだ? 俺の所で働いてみる気はないか?最初は立ち上げでたいへんかも知れないが、苦労に見合った報酬と待遇はすると約束しよう。」と言ってみた。


すると、俺が先程セッセとお宝の山をマジックバッグに入れているところを見て居た2人は、俺に不思議な可能性を見出してくれた様で二つ返事にOKを決心してくれたのだった。



こうして、俺の目論み通りに事は運んだ訳だが2人を如何にして王都に運ぶか?と言う問題があったのだった。



そこで俺は、一旦ドルビーの街に宿を借りて、俺が王都に到着して迎えに来るまでの間、逗留して貰う事を提案してみた。


2人は意味が判らずポカンとして居たが、俺がゲートを使って移動出来る事を教える為に街道の近くまで試しにゲートで繋いで見せた。



2人共に驚いて口が開いたままになって居たが、長い間馬車に揺られる必要が無いと知って漸く笑顔を見せたのであった。


やはり誰しもあのガタゴトとクッションの無い馬車での移動はs辛い物らしい。




こうして、2人をドリビーの街のソコソコ良い宿に送り届け、十分な前金を盗賊のお宝からゲットした金で払ってやって、小遣いも渡して置いたのだった。


2人が部屋に入って一息付いたのを見届けてから、俺は再び先の盗賊の襲撃のあった場所の上空に戻って北上を再開するのであった。


因みに街道の傍には首を刎ねられた件の盗賊の死体が放り出されて居たのであった・・・。



それから連日空の人となって4日後漸く王都の城壁が見える所までやって来たのであった。



王都の東門到着した俺はDランクの冒険者カードをを魅せて中に入り、一旦ドルビーに戻って、アリーシャとデビーを宿に向かえに行って王都にゲートで連れて来るのであった。


洞窟であった頃とは違ってすっかり、生気が戻った2人は肌艶も良く元気で自然な笑みが零れて居る。


「マルク様王都アッと言う間ですね!」と微笑むアリーシャ。


「まあ本来なら、門の関所を通らないと拙いのだがな。内緒にするんだぞ。2人共。これから商業ギルドに商会の登録に行くから着いて来てくれ。」と言って、


3人で商業ギルドを目指すのだった。



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