第353話 オオサワ家騎士団創設
私兵の騎士団創設とか実に面倒な話である。
団長経験者の勧誘とか言ってもあの騎士団の団長を見て判る様に実力の伴わない者による世襲で団長の経験どころか、騎士としての資質すら怪しい始末である。
実力と信頼と言う面に於いては、パパンが最適なんだけど、駄目元で聞くだけ聞こうかと思案中である。
パパンの弱点は身体強化と魔力操作が甘いので力技に持ち込んだ場合俺が勝つのである。
勿論、魔力操作がそんな状況なので魔装も使えない。
我が家の騎士団である。当然魔装も身体強化もセットで使える必要がある。
今からパパンを特訓して何とか物に出来ないだろうか?と悩む俺だった・・・。
「お父さんちょっと良いかな?」と電話を掛けて都合を聞く俺。
「おおトージか。何だ何かあったか?」と勘の良いパパンに先日伯爵位に叙爵した事を告げて私兵としての騎士団を創設する必要がある事を告げた。
「そこで、お父さんに騎士団を取り纏めて欲しいんだよね。」とお願いしてみると、少し考える時間が欲しいと言うパパン。
騎士団長を務めるとなると当然ガガから王都に引っ越しとなる。そう簡単に決断は出来ないだろう事は想定済みであったので了承して電話を切ったのだった。
3日間程の時間が経ってからパパンから引き受けてくれるとの電話があったのだった。
半分諦めて居ただけにこれは非常にありがたかった。
残るは騎士達の募集だが、まずはパパンに魔力操作と身体強化の熟練度アップと魔装の習得の特訓をマリーと一緒にやって貰う事である。
マリーの手前子供が出来る事を出来ないとは言えない筈で発奮すると踏んでの事である。
そしてパパンとママンそしてタージの3人が俺の王都邸に越して来て一段落するのに、約2ヵ月が過ぎ、漸くパパンも身体強化も魔装もセットで使える様になって、万全の体制が整った。
尤もこの2ヵ月の間に例のパーティーを済ませたり、騎士団の団員が住む寄宿舎を建てたり、本格的な訓練場を作ったりと俺なりに頑張った。
重要な騎士達の募集だが、王立学園の卒業生の中で貴族の次男3三男等家督を継げない者達も含み騎士職を目指す者が「我こそは」と募集して来て心配を余所に逆に篩に掛ける方が大変な状態だった。
けっかとしてこの2ヵ月の間に俺は14歳になって、まがりなりにも騎士団と名の付く私兵を設立する事が出来たのだった。
そうそう、社交ダンスのレッスン相手をしてくれていたモリーンが正式に我が『オオサワ商会』のスタッフになってくれた。これでやっと俺も雑務から解放されると思いきや、容赦無くモリーンから、指示が飛んで来て、次の商品を開発する事なってしまい現在『魔動カメラ』を毎日シコシコと作成中である。
前世の頃より蒸着スタンプによって魔方陣を付与出来る方法を取り入れたので1台当たりの工数は減ったものの、多くの台数を一気に揃えるのはやはりかなり面倒である。
こっち方面もやっぱり弟子を取って育成しないと駄目だな・・・と労働力の増強の重要性を身をもって感じるのであった。
騎士団の方が落ち着いたので、魔動具作成の弟子を取る為に敷地内に宿舎を建てて孤児院から魔力の多そうな子でヤル気のある子をスカウトして来てまずは魔法を仕込むところから始める。
もし魔法関連で芽がで無い様ならモリーンの配下にジョブチェンジすれば良い。
そんなこんなでアッと言う間の年末年始である。恒例の謁見の儀も済ませ、いよいよ最終学年である3学年である。今年は必須はそれ程多くなく、魔法も貴族学もサクっと『単位免除試験』を受けて終え割にする予定である。
これで本当にやりたい事だけに集中出来る様になるのだ。
やっとある程度の台数のストックも出来たので『魔動カメラ』の初回ロットをホイホイ買えない様な高額で発売したのだが、またしても王宮からの特別発注で
そうなるとモリーンからの追い込みが激しく、夜な夜な頑張って『魔動カメラ』を増産する日々に逆戻りしたのであった。
モリーンはもう少し、商会長である俺に対する敬意を払った方が良いと思う。と心の中で愚痴るも声に出さずに堪えるのであった。
さて、この様に伯爵になって以来全く休む間の無い日々が続いている訳だが、この過密な忙しさの中には断るに断り切れないマーガレット殿下の来訪も混じっていたりする。
今年の3月に王立学園を無事卒業したマーガレット殿下は、あれ以来メキメキと魔法の腕を上げ現状マリーと同等・・・つまり国内2番手の凄腕だったりするのだ。
一番手?一応俺のつもりである。忙しさでレベル上げが中断しているが近々に何とか魔宮の森でガンガンにレベル上げしたいところだ。
で、マリーと一緒になって「次は何をやるのじゃ?」とワクワク顔で迫られてしまい、『マリーの序でに』教えるだけ教えた結果が今の状況である。
一国の姫君としてどうなのか?って話もあるが、今の所、国王陛下からのお叱りは無いので良しとしている。
そんな日々を過ごしていた頃、焦臭い話が
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