第319話 ランク・アップへの道 その3

その後やはり、Cランクになる際には必須となる商会の護衛依頼、これは近隣のラクルールと言う街との往復を請けてそつなく熟した。


これは他のCランクパーティーとのとの合同依頼で俺は胸を借りる感じになったのだ。


「トージはラージさんの息子だろ? お父さんには昔世話になったんだよ。」とCランクパーティー『ガガの輝き』のリーダーオンネルさんが休憩時に教えてくれた。


「そうなんですか、この度はお世話になります。足引っ張らない様ににきを付けますので。」と先輩達に頭を下げてお願いするのであった。


「まあそう気張らなくても初めて にしてはちゃんと要所を押さえてる動きしてるから、大丈夫だよ。」と優しい一言を言ってくれたのであった。


さてこの行き先であるラクルールの街だがこの街を越えて街道沿いに真っ直ぐ北上するとこの国 アムール王国の王都がある。


このアムール王国の名前なんか美味しい貝の名前みたいだが結構大きい国らしい。


Cランク以上になればBランクも見えて来るし、そうなればこの国だけで無く近隣諸国を旅して廻って米や醤油を探さねばならない。


ナンシー様曰く既に存在してるって話だったのでまずはこの国の王都から探す感じだろうな・・・。



そんな事を考えて居ると家際察知に感があった。


「あ!魔物?来ます!数、12匹ウルフ系かも。」と大きめに叫ぶとざわめく馬車の中。


「え?ホントか?あ!あれか!2時の方向にシャドー・ウルフの群れ在り!」といち早く視認したオンネルさんが俺の警告を補足した。

「ここから狙えます!」と俺が言うと、


「じゃあトージ、何匹か間引いてくれ。」と言われ、魔弾をパスンパスンと撃ってまず最初に先頭を走っていた3匹を殺(ヤ)って、後続の3匹までは倒した。残る5匹を『ガガの輝き』のみんなが倒しサクっと終了した。


「いゃぁ~これでDランクなりたてって良い意味でランク詐欺だな。本当に良い腕だよ。」と最初に俺が倒した6匹の眉間に空いた穴を絶賛してくれる『ガガの輝き』の皆さん。



そんな感じで終始事前に感知して知らせるを繰り返した結果、予定よりもスムーズに本日の到着予定の野営地へと辿り着いたのだった。


この街道は王都まで続くガガに取っては生命線とも言える街道で、それなりに整備が行き届いておりこうしたパーキングエリアの様な野営地が一定距離毎に設置されているのである。


まあここら辺は前世でもあったので特に驚く程では無いけどな。


夕食はママンの料理より味の薄いスープと定番の携帯食であるカチコチのパン。それに硬くてあまり美味くはない昼間に倒したシャドー・ウルフの肉を焼いた物である。


それを文句も言わずにみんなでモグモグと薄いスープに浸したパンと流し込む様に食べ終える。

夜の寝ずの番は俺はオンネルさんとペアで最初の3時間をやる事になった。


何時もなら、風呂に入って魔力枯渇して寝る時間だが、いつ何時魔力が必要となるか判らない外出先では出来る訳も無く焚き火の揺らぐ炎に誘われる睡魔をジッと耐えるのであった。


漸く3時間を乗り切り交代の時間となった後は馬車の下で毛布に包まって眠りに就くのであった。

幸いな事に魔物の夜襲は無く朝まで眠れ地面の固さ故に爽快な朝とは言い難いが何時もの時間に目覚めたのだった。


最後の寝ずの番のカーターさんとドロージャーさんに挨拶をして、昨日の夜の残りのスープに具とハーブ類を足して、朝食の準備をする。


今回の雇い主の商人も起きて来たのでみんなで朝食を取って早めに撤営して早々に出発したのであった。



こんな旅を2日続け3日目にやっと最終目的地のラクルールに到着したのであった。


片道3日、往復6日、現地で2泊なので、役1週間の長旅である。


こううして旅にでると、如何に安心して魔力を枯渇出来る自自宅があるのが素晴らしいかが良く判るのであった。


宿に着いてホッと一息付いて、夕食後は早めに自室にも度って地面よりマシなベッドの上で手足尾を伸ばし横になるのだった。


思った以上にこの年齢のこの身体にしたら今回の旅はキツかったのか、程良い疲れと相まって翌朝まで爆睡してしまうのであった。



これから雇い主の商人の用事が終わるまで2日間はフリーである。


懐も『紅のイタチ団』のお陰で非常に温かいので家族へのお土産でも探そうとちゃんと味のする宿屋の朝食後に街へと繰り出すのだった。



お土産・・・ママンとマリーの分は小物系のアクセサリーを直ぐに見つけたので問題無かったのだが、問題はパパンのお土産だ。アクセサリーなんて着けないしいらないだろう?さてどうしたものか?


悩みに悩んだ挙げ句、ちょっとお高めのお酒を買って帰る事にしたのだった。


これで1人だけお土産無しとは鳴らなかったので同じ父親経験者としてホッとしたのであった。


まあそう言う意味では帰宅時の元気な笑顔とどんな下らない物でも子共のお土産は嬉しいのだがな・・・。



買う物も買って、『時空間庫』に物陰で仕舞った後は完全なるフリータイムだ。


そうなると、行く馬車は市場と相場が決まっている。軍資金は多いので幾らでも購入出来るのだが『時空間庫』を公表出来ないのでそこら辺が泣き所だな。


面倒事に発展しないように気を付けないとな・・・。



俺は小腹が空いた事もあって良い匂いをさしている屋台の肉串を買って、ついでにオッチャンに市場の場所を聞いて、お礼を言って市場へと向かうのだった。




さあ、まずは米を探そうではないか!?と見本として前世のマイマイの籾付きの実と脱穀済みの白米とを小分けの小袋に入れて麦等を売ってる農家の店主にみせた廻ったが、結果はヒット0。


まあそうそう簡単にはお宝に預かれないらしい。


せめてこっちでの正式な名称が判らないと探しようが無いかも知れない。最悪、このマイマイをこっちで栽培して増やすか? いやいやそれは余計に難しいし、面倒だ!


ナンシー様にこっちでの名前を尋ねて産地を訪ねた方が断然早いな。と最悪のパターンも想定しつつ考えを纏めるのであった。


尤もポンコツ気味のナンシー様だけにそう言う細かい情報を持って居るのか気になるところだが、其処は自分の作った世界だし大丈夫だと信じたい。




こうしてアッと言う間にフリーな2日が終わって馬車は一路ガガの街へ向かう事になった。


行き掛けでシャドー・ウルフを討伐したお陰か、特に魔物の襲撃も無く後半は実に楽な護衛依頼となった。


どうやら、この路線の盗賊は居なかった様で、盗賊の襲って来る気配すら無かったのは幸いだった。


そして約1週間振りに戻って来たガガの街はちょっとなつかしく、温かく感じたのであった。


冒険者ギルドに寄って依頼完了の報告を済ませ、『ガガの輝き』の皆さんにお礼を言ってから別れていそいそと家路を急ぐ。


「お兄ちゃん、お帰りなさい!」と言って飛び付いて来るマリーの出迎えを受け止めてパパンとママンに『ただいま』を言って全員にお土産を渡すと大変喜んでくれたのだった。


こんな何気無いシーンに前世の家族の事を思い出してちょっと胸が熱くなる俺だった・・・。



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皆様どうもです。m(__)m

3連休SPとしまして、下記の外伝をサポーター限定ではありますが近況ノートにアップ致しました。

 外伝:戦火に巻き込まれて、女神試験の手駒転生


■■■ 外伝: 静かに憔悴する人々とその後 ■■■

https://kakuyomu.jp/users/kane21/news/16818023214067482092

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