第266話 指名依頼 その2
冒険者ギルドの2階の会議室に通されると、受付嬢の1人がお茶を煎れて持って来てくれた。
何か何時になくサービスが良くてお尻がムズムズしてしまう。
「何か待遇良過ぎると怖いな・・・。」と思わず心の声を漏らすと、ゲンダさんが、口を開く
「いやそう身構えなくてもSランクのトージなら大丈夫だって!他に頼める奴は思い浮かばないけどな。」と自信満々に言うゲンダさん。
「まあ内容聞いてみないと何とも言えないですね。」と返し説明を待った。
ゲンダさんは徐にテーブルの上に丸まっている地図を広げた。
これは過去に見せて貰った事のあるマッシモの街を中心にマッシモ領を描いた地図である。
マッシモ街の北東部分に大きな緑色に塗られた森林地帯を示す部分が在り、それが我が古巣の『魔の森』である。
そしてマッシモの東門に続く街道からズーッと進んで行くとその魔の森の比較的近所を通行する事になる。
この街道を辿って行くと隣の領や更には王都方面へと続いて居る。
王都はマッシモから見て北北西の方向となるので隣の領に貼った所で街道の分岐が在るのだけどな。
まあそれはさて置き、ゲンダさんの説明によると、最近魔の森の魔物が魔の森から出て来ると言うか街道の付近まで行動領域を広げて居り、ゲートで直接移動しない従来通りの行商の商隊などにチラホラと被害と報告が上がっており、問題になって居るそうな。
中でも厄介なのが、フォレスト・ウルフの大規模の群(30匹程度)と目撃報告の上がって居るオーガの3匹の群である。
特に現在のマッシモを含む王国全体の冒険者でオーガ3匹を相手に出来そう名冒険者が俺以外に思い浮かばないらしい。
「そうかオーガか・・・あれは普通に硬いから素のままの剣で斬ろうとして斬れるもんじゃないからな。理解したよ。オーガならダンジョンで何匹も倒してるから大丈夫だ。
それよりもフォレスト・ウルフの大規模の群の方が厄介そうだな。本当に30匹程度なのか?」と率直な感想を返す俺。
こう言うのって、得てして蓋を開けると、1.5倍位に増えてましたってオチ多い気がするんだよな。 それにウルフ系は群での狩りが上手いからなぁ~。
そもそもフォレスト・ウルフであっても20匹くらいなら過去に相手にした事もあるから問題無いし返り討ちに遭う事はない。
それより厄介なのが、分散して逃げられた場合である。
かと言って簡単に一網打尽に出来る様な嵌め技も無い。
「概ね判ったが、フォレスト・ウルフの大規模の群の方は何回かに分けて討伐しないと全滅させられない気がするな。彼奴ら賢いし。結構面倒なんだよな。良い毛皮持ってるけどな。魔の森時代にお世話になったよあの毛皮は。」と過去を思い出しながら補足するのであった。
「兎に角絶滅させられるのは厳しかろうが、大半は狩って欲しい。奴らの『群』は本当に厄介だからな。現実かなりの被害が出ているんだよ。それにこの群が村や集落にまで足を伸ばすと村が全滅してしまうからな。」と頭を下げるゲンダさん。
「魔物が増えた原因はもしかして、俺がマッシモに移り住んで定期的に間引きをしなくなった所為か?」と思わずポロッと思い付いた事を口走ってしまい一瞬気拙い空気が流れたのであった。
■■■
指名依頼を請けた俺は一旦自宅に戻ってダンジョン・アタック時と同じ様にアリーシアに報告してから魔の森の上空に向かうのであった。
こうなったら、フォレスト・ウルフの群を見つけるのが一番手っ取り早いだろう。魔の森の上を数カ所廻りつつ地上の気配を探るも、そう簡単に見つかる位に楽な相手であれば万々歳なのだがそうは問屋が卸してくれない。
それにもう1つ問題があって、この『魔の森』にはもの凄い数の魔物が住み分けをして生息して居り、魔物の集団の気配を見つけたとしてもゴブリンであったり、オークであったり、俺の嫌いな昆虫系であったり、なかなかピンポイントでフォレスト・ウルフに行き当たるとは限らないのだ。
例えると砂浜で特定の石を探す様な感じかな?
なので、色々場所を移動して気配を探って『集団』創作を盛大に空振りした結果、ウルフ系の生態は不明だが何処かに奴らのコロニーが在ると思うので、まずは
方針は決まったが、だからと言って直ぐに偶然フォレスト・ウルフに出会える訳も無く・・・連日グルグルと『魔の森』の上空を廻って木々のあいだからフォレスト・ウルフを発見しようと躍起になるのであった。
街道付近にフォレスト・ウルフの大規模の群が出るなら其処の近所に巣くってるんじゃ無いかって思うでしょ? 甘いんだなぁ~。これまでに複数箇所で襲われてると言う報告で3箇所共に多少場所が離れてるんだよ。
勿論その3箇所の半径500m近辺を重点的に探したけど見つからなかったんだよね。
そんな感じに日々無駄に探しまくっていたら、なんと、フォレスト・ウルフの大規模より先にオーガ君達を発見してしまった。
3匹って聞いていたけど、実際には5匹で連携してフォレスト・ディアーの狩りをしてる場面を発見!!
即座に滑空を止めて重力制御で空中に浮遊した状態からフォース・フィールドの足場を作って上空で狙いを付けてストーン・ブリッドを眉間を狙ってまずは1匹目をバスンと1発で倒して、仲間のオーガが急に血を額から流してぶっ倒れた事に驚きパニクって
グオーー!と困惑の雄叫びを上げて他の仲間に注意を促す1匹のオーガ。
俺は次のターゲットにこの1匹を選び、またストーン・ブリッドでヘッドショットをバシッとキメる。
そう、魔弾だと硬いオーガの頭で弾かれてしまうから、ストーン・ブリッドをチョイスしたのである。
今度も悲鳴を上げる間さえなくドシンと前のめりに倒れ残りの3匹が慌て出してオロオロして居るところに、連続して2匹の眉間にストーン・ブリッドを御見ましたのであった。
残る1匹は完全にパニックになってグゴーーと叫びながら森の奥へと逃走を開始。
1匹残すのも良く無いので一旦地上に降りて、先に倒した4匹の亡骸を回収して、慌てて逃げた1匹の後を追う。
命を賭けた奴の逃走劇での逃げ足は相当に速く、上手くへ配を隠されてしまって結局取り逃がしてしまったのだった・・・。
実に残念だが仕方が無い。
しかし、残り1匹になって相当にビビって居るので街道に出て通行人を襲う事は無いんじゃないだろうか?
また他の群と同流したら話は別かも知れないが、其処まで責任は負えんからな。
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