第36話 王都へ その5
皆様、GWは如何でしたでしょうか?
本日投稿分より通常通り1日1話の予定で居ります。
引き続き、宜しくお願い致します。m(__)m
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トージからの衝撃の発表に打ちひしがれたマッシモの夜明けのメンバーの大半がテントに引き篭もって就寝に入った後、当番の2人がに焚き火の前に陣取り、お茶の入ったコップから、冷め始めたお茶を啜りながらボソボソと会話して居た。
「おい、どうするよ?今更普通の飯ってキツイよな・・・それでもラルゴさんの用意して下さった料理自体上等な高級品だから、普通に俺達が食える物じゃねぇ~んだけどな・・・。困ったな。」と暗い顔で答えの無い会話をしていたのだった。
まあ、彼らがここ数日毎回景気良く食っていたトージの作った食事だが、実際に料金を付けるなら、王都の高級レストランより高額な値段でも安いぐらいの代物だったと言う事にまだ気付いて無い。
富士山の山頂で飲む缶ジュースがそれなりに運送コスト分加算されているのと同じ。
そんな訳で、実際に金額を付けるのであれば1食1人金貨2枚ぐらいでも安いぐらいなのであった。
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さて話は変わるが、本来商団等の護衛依頼等は四六時中気を張って警戒し続けなければならない非常に精神的にも疲れる物と言うのが常識である。
だから、人数が減る寝ずの番では暗がりで視界が悪い事もあって昼間以上に神経を磨り減らしてしまう物だ。
しかも今夜月の出て無い新月の夜。
本来であれば、2人組でなく、3人以上でも視界によっては足りないぐらいである。
だが、この依頼が始まってからは、日中もトージが先行して脅威を排除して安全を確保して居た事が悪い意味で彼らの本能的な危機感を鈍らせてしまって居た・・・。
もう直ぐ寝ずの番の交代時間となる深夜12時頃・・・。
パーキングの周囲に近付く無数の黒い群・・・最近この街道の近くに根城を移したブラック・ウルフの群である。
名前が表す様に黒い毛皮を身に纏ったッ集団で狩りをする闇夜のハンターである。
彼らは元居た場所の勢力争いに敗れ、新たなる餌場として選んだのはこの街道の比較的近くの森の中であった。
隠密行動に秀でた闇の狩人ブラック・ウルフの群はパーキングの周囲を取り囲んで徐々にその範囲を狭めて行くのだが、賢いブラック・ウルフは一番気配察知能力に長けている竜(太郎次郎)の方には近付かず、察知されるギリギリで回避していた。
一応、表面上熟睡していた俺は、本能的に敵意のある存在の接近を察知して、瞬時に目を覚まし、叫んだ。
「敵襲ーーー!!!起きろ!!!」と。
俺は、直ぐにテントの外に出て、夜空に向かって、大玉のライトを発動して、浮かべた。
周囲10m程に無数の黒い影を見つけて、
「周囲、ウルフ多数!! 起きろ!敵襲だーー!」と再び叫ぶ。直ぐさま燃える物が無い事を確認してから、拳大ファイヤーボールを浮かべて周囲のブラック・ウルフに無作為に狙って撃ち込んだ。
キャイン♪グアウーと狼達の悲鳴が響く。
遅まきながらラルゴさんと他の奴らがテントから出て来て、
「ラルゴさんの警護を!!」と俺が言うよりも早く、流石んぼケネスさんがピタリと横に貼り付いていた。
俺は、ラルゴさんの周囲に土の壁、ストーンウォールを築き、背後からの攻撃に備えた。
起きてきたアリーシアさんをチラリと確認して、
「アリーシアさん、ラルゴさんの傍へ。」と指示を飛ばし、討伐に専念する事にした。
群のボスの命か、ガウ♪と言う一吠えを期に一斉に周囲のウルフたちが俺達目掛けて飛びかかって来る。
俺は、爆散型の魔弾に切り替えてショットガン宜しく、バスンバスンと撃ち始めた。
キャン、キャン、グオーキャイーンと被弾して動けなくなる狼達の悲鳴と共に包囲網が徐々に薄くなって行く。
30匹程倒した所で、ワオーーーン♪と言うリーダーの号令で、辛うじて動ける12匹程はリーダーの後を追う様に闇の中へと逃走を開始した。
周囲に散らばる瀕死のブラック・ウルフにトドメを刺して、周る俺に続き、殆ど役に立たなかったマッシモの夜明けのメンバーが手伝い始めた。
「ケネスさん、これどうする? 毛皮は無傷のが少ないと思うけど。俺は要らないから、任せるよ。」とやや苛立ちの感情を抑えつつ伝えると、ケネスさんがラルゴさんに処分するかを聞いて。
「売り物にならないから、魔物が寄って来ない様に穴掘って処分で良いか?」と俺に尋ねて来たので頷いて邪魔にならないパーキングの端の方に大穴を魔法で開けてやり、そこへ放り込む様に伝えた。
10分ぐらいで魔石だけ抜いた亡骸を穴に入れ終わったのを見計い、一気に火魔法と風魔法を合わせて、景気良く焼却して、土を被せて埋めておいた。
「トージ様、ありがとうございました。」と頭を下げるラルゴさん。
「すまねぇ、見張りが気付くのが遅れてしまった・・・。お陰で助かった。」と非常に気拙そうな表情のケネスさんがお礼と詫びの言葉を継げて来た。
「まあ、月の出てない新月の夜だし、不可抗力として置こう。相手がブラック・ウルフだったし。」としょうがないと言う許容のスタンスを取った。
本音は、幾ら闇夜のブラック・ウルフとは言え、気配くらい磨いておけ!と言うのが心の中でモヤモヤしているのだが、だが、よくよく考えると、俺のこの身体はハイスペックな専用ボディだし、そこら辺も加味すると、一般の人族の五感の感度は限界が低いのかもしれないな・・・。
一応、念の為、雇い主であるラルゴさんのテントを包む様に、土魔法のドームで覆っておいた。これで朝までに再び奇襲されても出遅れる事も害される事も無いだろう・・・。
やっと落ち着き、全員にウォッシュを掛けてからテントに戻って再び眠りに就くのであった。
俺がテントに戻ると興奮したのか、はたまた恐怖の所為か、アリーシアさんが気の毒な程に震えててなかなか寝付けない様子だったので、再び遮音シールドを展開して、少し会話して落ち着かせ、漸く睡魔の波が来た様で寝息を立て始めたのを見届けて、俺もコットに横になったのだった。
こう言う時に有効な精神安定剤的な魔法とかつくれるのだろうか?とフト思ったが、
内容や効能的に犯罪臭がする魔法ので考えるのを止めたのだった。
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