戦火に巻き込まれて、女神試験の手駒転生

気怠い月曜

シーズン1

第1話 終末の日

どうも皆様、お読み頂きありがとうございます。

チート物に食傷気味の皆様に是非!(^_^)ゞ

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天井を支えて居た梁に火が付き、天井が崩れ堕ちて俺と持ち出し用に両親の位牌とやっと人生の再起を果たせると大喜びした一等前後賞10億円が当たった年末ジャンボくじを入れたリュックが厭な臭いを放ちながら燃えて居る。


そして火の付いた天井が俺を蒸し焼きにしていて激痛が俺の意識を飛ばしてしまった・・・。


2036年漸く某感染症の余波も消えて世界的にこれからって時に突如始まった近隣国家からの数十発のICBMによるが大晦日の除夜の鐘の代わりのJアラートを響かせた。


ニマニマと当たったジャンボくじを目の前に置いてカップ蕎麦を1口口に啜った所だった。


キュイキュイ♪と鳴って炬燵の天板の上で暴れるスマホに目をやると、地下施設に避難を促している。

慌ててテレビを付けようとリモコンを探してテレビを付けるとどのチャンネルも同じ内容で、日本を取り巻く国々がICBMと思わしき飛翔体を発射したと言う。


悲壮な表情のアナウンサーが「政府によりますと、核弾頭ミサイルの可能性が高いとの話です。大至急皆さん、近所の地下施設へと避難して下さい。」と連呼している。


「は?地下施設?ねぇ~よ!」と毒突くものの、取りあえず、リュックに水のペットボトルとタオルに包んだ事故で亡くなった両親の位牌と炬燵の上に置いていた10億円の当たりくじをビニール袋に入れて仕舞い、どうしようか?とオロオロしていた。


ここは、事故死した両親が残してくれた一軒家。地方都市の周囲によくあるベッドタウンである。地下施設のある様な建物なんざ、近所で見た事なんか無い。


つまり、逃げる場所すら無いのだ。


近隣の3国から撃たれたミサイルを自衛隊の迎撃ミサイルで撃ち落として居るようだが、全弾を打ち落とす程の迎撃ミサイルを保持しているとは思えないし、100%命中するわけでも無いので漏れる可能性もでてくるのだ。




結局動くに動けず、リュックを抱えて居ると遙か彼方で、轟音と衝撃を感じ、激痛で目を開けると冒頭の燃えてる天井に押しつぶされながら焼かれているシーンだったと言う訳だ。


 ◇◇◇◇


目を覚ますと何処かは判らぬ白い場所に居た。 身体に痛みは無いし、怪我も無さそうである。

首だけ動かして周囲を見回すと、壁の一部にテレビの映像の様な物が流されている。戦争映画だろうか?


遠目で判り辛いが、時々グロい物が写っている気がする。


って、俺ってどうなったんだろう?


確かヤバイ程の怪我を負った様な記憶あるけど。


と思いを巡らしていると、可愛らしい女性の声がしてそちらに目を向けると、女子高生ぐらいの白いゆったりとしたワンピース?のボブカットの銀髪美少女が立って居た。


見るからにこの世の物とは思えない美しさと幼いながら、キリリとした目が知性を感じさせる。ゆったりとした衣装の所為か、幼い子が無理して大人用のドレスを纏った様なチグハグ感がする。

特に慎ましやかな胸部装甲がそれを強調している。美少女だけに惜しい感じだが、ドンマイだ。手足も長くスラリとしているがあと10年もすれば立派に成長するのではないだろうか?

今だと、ツインテールが似合いそうだな。等と頭の中で考えていたのだが・・・。


するとムッとした表情で、口を開き、

「こら、そこの人間、女神(見習い・・・)を胸で評価するとは何事ですか!? その見苦しい物を仕舞いなさい。」と言って来た。


「ん?女神? 見苦しい物??」と呟きつつ、初めて自分の状態を目で確認すると、スッポンポンの俺と慎ましやかな俺の息子が鎮座していた。

アカン、みぐるみ剥がれとる!!一瞬で自分の置かれた状況を察して


「ぎゃーー!パンツ!服!!!」と俺が悲鳴を上げると、パッと真っ白のボクサータイプのパンツを履いた状態になった。 おおっ?


「あれ?思った物が出て来る感じか?」と気付いて「靴下。」と呟いてみると、真っ白の靴下を履いた状態になった。靴下にパンツ一丁だと変態チックなので、慌ててTシャツにズボンと靴を追加した。


「これで、やっと好青年モードになったな。」ホッと一息つくと、自称女神の方を向いて挨拶をする。

「まさか真っ裸とは思わず、申し訳無い事を。あーっと、女神様ってっ事は俺って、やっぱり死にましたよね?」あたまを下げて謝罪しつつお尋ねしてみた。


「ああ、人間、綺麗にウェルダンで焼けておったぞ。グロいのでお薦めはしないがの、どうしても見たいのなら、見せてやっても良いが?」と口調と見た目が一致しない女神様のお言葉。


「あー、えっと、これって、もう日本には戻れない感じですかね? いや、グロは厭なので見せて頂かなくて結構です。(ましてや自分のウェルダンなんて一生のトラウマ物である) まあ良い奴でも人様の役にも立った事も善行も記憶無いし、もしかして地獄行き?」と俺が聞くと


「うむ、なかなかに理解が早い様じゃが、お主日本に戻したとしても、恐らく1時間もせずに逆戻りじゃぞ? 地球世界は、現在放射能で地獄じゃからの。最初に打ち込まれたお主の住んでおった日本も既に殆ど陸地は消滅しておるしの。」とサラッとヤバイ事を伝えて来た。


「え?それって核による終末戦争ですか?」と聞くと。


「じゃの。アホな人間が力持ちすぎたのぉ。まあ妾としては、本試験に挑む手駒が手に入り易くなってラッキーじゃったがの。お主も妾に選ばれてラッキーだったんじゃぞ?でなければ、あの死者数と残留放射能だと1万年は軽く順番待ちじゃし。地球に転生しても文明0からやり直しじゃ。しかも人間に生まれ変わるとは限らんしの。」と重い内容の割に至って軽い調子でサラッと地球の人類に夢が無い事を暴露して行く。


本試験?手駒? やら不穏なワードもちらちら聞こえるが、これから俺がどうなるのかを聞いてみた。


「えーっと、手駒ってのはちょっと怖い表現ですが、俺の事でしょうか? この後俺ってどうなります?」と説明を求めると。


コホンと一つ咳払いをして説明をしてくれた。


今俺の居る場所は神界というよりは見習い女神のオペレーションルームらしく。


ここで手駒となった魂を異世界に送り込んでより良い結果になる様にする為の世界管理を行うのだそうだ。

で、丁度良く終末戦争の起きた地球世界から、異世界物に詳しそうな俺(の魂)を摘まんで来たと言う事らしい。


何か判らんが、地球に女神見習いが手駒の魂収拾の為に集まって凄い状態だったそうな。

まるで鰯の魚群に集る海鳥の様な絵面だったらしい。


「じゃからの、人間、お主はラッキーだったんじゃぞ?妾に摘ままれたんじゃし。さて、じゃあ、これから行く世界の話をちゃちゃっと済ませてサクっと逝って貰うかの?」とご無体な事を言い出す女神様。


「いやいや、ちゃちゃっとじゃなくて、大事な第二の人生なんだし、ちゃんと十分に情報下さいよ。こっちは人生掛かってるんだから!どんな世界で、何かする事があるのか、その世界に『逝って』って、そのまま即死とか笑えないし。」と必死で転送されない様に食い下がる俺。


「なんじゃ、この知りたがり屋さんめ、細かい奴じゃのぉ~。余り細かいとハゲるぞい? まあ、しかし、これまで失敗4回続いているから、此奴の言う事も聞いておいた方が合格への近道かも知れんの。」とブツブツと独りごちる女神様。


この頃になると思考を読まれるので下手な事を思い浮かべて不機嫌になられてハンデを付けられたりしない様に、頭の中は余計な事は考えず、悟りを開いた聖人の如く無心?である。



まず判ったのは、この女神様は本採用前の見習いの為、名前はまだ無いのだそうで、受験番号の7462と仮称で呼ばれて居るらしい。


で、俺がこれから送られる世界は本職の女神様が作った世界で、魔力(魔法)のある世界らしいが、まだ魔法自体が発展してないらしい。


「え?つまりどう言う事でしょう?」と疑問を口にすると、魔法自体は存在するが技術や学問として確定した体型の決まった物ではないらしい。つまり、原住民らは今一つ使い方を判って居ないらしい。


余計に判り辛い。 その世界には魔力が空気中にも漂っているし、人の身体の中にも、勿論食べ物にも含まれて居る。

それを魔法として結果を引き出せるか否かは具体的に魔力にイメージが載せられるかどうかに掛かっているのだそうで。

あと、地球の中世時代よりも厳しい下克上で未開な世界感で、強者のみが良い思いが出来る最悪な世界らしい。


ステータスやレベル等のよくある設定については、レベル等はないが、自分のコンディションを数値化して見るステータスは存在する。

そしてジョブもスキルも無い。

『ステータス』と念じて表示されるのはHPとMPのみ。と。


「えーー?それって、異世界物で定番のアイテムボックスや、鑑定とかの能力も無いの? ハード過ぎる」と俺が嘆くと。


「うむ、そうじゃろ。じゃがの、妾の手駒となるお主にはこの世界の事を知って動いて貰わねばならんので『女神の英知』を分け与えるのでそこはそこら辺の学者より賢くなるじゃろ。」と。

「うーん、じゃあ現地の言葉や常識も物の名前なんかも見れば判るのか? 鑑定スキル無くても大丈夫か。」とちょっとホッとする俺。


と言う事でゲームの様にスキル取得一発で特殊な技能をマスター出来てウマーな世界では無いらしい。


あ、あと転生なのかと思ったら試験の手駒専用で丈夫な身体年齢15歳設定の丈夫な身体(量産機と一線を画す専用ボディー)が現地でスタンバっているそうで、そこに俺の魂をガチャコンとインストールする感じになるらしい。


尚、『女神の英知』は魂に刻まれるので身体には関係無いのだそうで・・・。


てか、27歳の俺が、15歳の身体になるのかよ!? 中学生ぐらい?高校生?


また未成年から始めるのかと、ちょっと前世の学生時代を思い出してブルー入ったけど、心配ご無用、行き先の世界は15歳で成人だって!


まあ、考えようによっては、オムツプレーも授乳プレーも無いのはありがたいのか!?


で、魂に刻まれたという『女神の英知』は・・・頭の中で魔力や魔法等について考えるとポロポロと知りもしない様な知識が浮かんで来るし、シックリと理解出来ている。


「えっと、俺ってあちらで何かをしないといけないのでしょうか? それとやってはいけない禁止事項は?」と聞くと。

そう、結局、俺の元居た世界は、俺達に守れるだけの力が無くそして滅んだらしいし、力無くみすみす滅ぼされたり、殺されたり、奪われたりするなんざ、まっぴらゴメンだ。

「そうじゃのぉ~、世界を発展させて、住みよい世界にすれば上がり(合格)じゃ。国を作るのも、国を乗っ取るのも構わんぞ!要は進歩させれば良いんじゃ・・・多分。禁止事項?特に無いな。ああ、試験官(本職の女神)の作った世界(試験会場)は滅ぼしちゃいかんな。それぐらいじゃ。妾の合格はお主に掛かって居る事は努々忘れん様にの!」と。


「えー?世界の発展って?漠然とし過ぎじゃ?判り辛いな。世界を滅ぼしちゃ駄目は判るが、率先して人を殺したいとは思わなくとも戦争とかに巻き込まれて人を殺しても駄目なのか?」と聞いてみると、

「殺すのも犯すのも自由じゃが、世界の器である星を破壊したりは(妾が)アウトじゃ。」

つまり、星を壊さなければ、大抵はOKと。女神からして見れば、命と言う意味では人も魔物も動物も同じで、人を1人殺すのも鶏を1羽殺して食うのも同じと。なんか世界感が荒んでるなぁ・・・・。


「ちなみに、地上に降りたらもう女神様とお話しする事は出来ないのでしょうか?」と聞いてみると、「何じゃ、妾に惚れたか?」とニンマリしているが、

「あ、いえ、そんな身の程を弁えない様な事は畏れ多い・・・しかし、どうせ此方から状況を監視されるのでしょ?時々は会話して、女神様の最新情報を仕入れそれに沿った行動を取れば女神様の言う『合格』が早まるのでは無いかと。」と具申してみる。


「何と!そう言う事がこれまで欠けておったのかの?なる程、尤もじゃ。じゃがのぉ~地上に妾には名も神殿は無い故、神託は難しいのぉ。」と暫し考え込んだ女神様が否定する。


「ん?名前さえあればイケるのか?」と俺が聞くと「そうじゃの。」と頷く女神様。


「じゃあ、僭越ながらこの俺が、名前をお付け致しますよ。・・・『ナンシーノンC』様で如何でしょうか?」と俺が言うと、パーーっと目の前の女神様が輝き、銀髪が金髪になって、少し女神らしい身体付きに進化したのであった。

「あ・・・、大丈夫か?ええかの。」と一瞬たじろいだものの、進化した自分の身体を見下ろして、タユンと手の平で持ち上げて揺らし、満面の笑みで頷いていたのだった。


もしかして拙かったのだろうか? まあ、満面の笑みだから良いか。これによって、地上にある神殿経由で『ナンシー』様を指定して祈りを捧げる事で多少の会話が可能となったのだった。

あくまで他神の神殿の間借りなので、通話時間が短いらしいが・・・。所謂公衆電話的な感じだな。


「よし、手駒よ、地上を発展させて参れ! 決して簡単に死ぬなよ? フリじゃ無いからの! 丈夫な手駒専用の身体でも不死身ではないからの!」と言う言葉と共に俺の魂がギュインと吸われて床に空いた黒い穴へと吸い込まれていくのであった。

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