植物学者の独白、あるいは夢と孤独

「新月の夜にだけ咲くこの花は、少しでも光があると開かないのです。純粋な闇の中でしか、開花しない。そして夜が開けると種を残し枯れてしまう。だからこの花の形を見たものは誰もいないのです。じゃあなぜ咲いたかわかるかって?香りです。香りだけが、この花の存在を示す唯一のものです」


「赤外線やらなんやら──色々試してみましたが、駄目でした。装置を設置すると咲かないんです、花が。きっと……きっとこの子の本当の姿は、私達人間が暴いてはいけないものなんです。蕾の形からその姿はある程度推測できても、真実はわからない。永遠に、知ることはできない──」



「──だからこそ、夢中になるのでしょう。私のように」





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