私の話

「やぁ」と私が言った。

「やあ」と私は返した。

n杯目の紅茶を飲む。


「この空の果てまで色を塗りたい」と言っていた私は元気だろうか。この夜空もその私が延々と描いたもののはずだった。

塗りつぶした先端にいるかの人は遠過ぎるし、思いを馳せるには簡単すぎた。

クレヨンの螺旋はどこまでも深く、夢見の底まで届くのだろう。

n回目のミルクを注ぐ。


クイーンしかいないチェス盤の横で、羅針盤がうたた寝をする。そろそろ帳の仕事は終わりで、かの人も眠りにつくだろう。

水色のクレヨンにバトンタッチ。今度は溶かして蝋燭を作る。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る