ボクのお姉ちゃんは……。

烏目 ヒツキ

ボクのお姉ちゃん

ボクのお姉ちゃん

 中学二年の夏だった。


「今日から、リクくんのお姉ちゃんになるの。仲良くしてね」


 お母さんが女の子を連れてきた。

 肌はペンキを塗ったように白くて、髪は真っ黒で長い。

 長い髪は、後ろで結んで肩口から垂らした感じ。


 第一印象は、そのものだった。


 失礼かもしれないけど、他に言葉が見当たらない。

 美しいがゆえに、人形なのではない。


 その子は、生気が感じられない様子で、ボクをジッと見つめてくるのだ。


「アオイです。よろしくお願いします」


 声を発したことで、彼女は人間なのだと、遅れて受け止める事ができた。


「リクです。……お、お願い、……します」


 元々、知らない人と話すことが苦手なボク。

 アオイと名乗った子に握手を求めたのは、気が動転していたからだった。


 でも、おかしいのだ。


 周りに目を配り、ボクは首を傾げる。


 ――アオイさんの

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る