第3話 ないとめあ

信じなくてもいい あるものはあるの

怖がるのはもうやめて目を閉じておやすみ

あなたがどんなに怯えようと

世界はまた

目を開く


たとえば一つの芽が育ち花が咲いて落ちるのは

恐れることではないでしょう?


恐竜たちの長い長いステージ

きっととても人気があった

カーテンコール

鳴り止まぬ彼等の拍手

愛されていた

その手のひらに載せられて


ただあなたが眠りからさめて

かわいらしいせのびをうんとして

もう一度丸まって眠る

この世界はただそれだけのこと


目を閉じることを

恐れることはない

信じていなくても

目には見えなくても

父親が半信半疑でも

母親が盲信していても

聞こえなくても

触れることさえできなくても

数多の書物の中にその姿を探したとしても


あるものはあるの

信じなくても

あるものはある



目を閉じてご挨拶を

バイバイ

しばし、

もしくは永遠に

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