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彼の母は捕まった。
DV防止法違反、傷害罪など、罪に見合った名前が付けられた。遺書に書かれた内容から警察が取り調べと家宅捜査は拒否していたようだが、精神の疲弊で自白したらしい。
まぁ、令状の発行も時間の問題だったのでらどちらにせよ詰んでいたとは思う。
個人的には、彼にどのような気持ちを持っていたか聞きたいところではあったが、手錠をかけられ、痩せ細った姿を見るとその気にもなれなかった。どうせ、私の求める答えも彼が求めた答えもそこには返って来ないのだから。
正直、そんなこと『此処』に書くつもりはなかったのだ。しかし、書かざるを得ない理由があった。それは、『手紙』の話だった。
警察から袋に入った状態の茶封筒を渡された。宛名に私の名前が入っていたので、私に届けてくれたそうだ。
封筒を慎重に開けると、中から、線と白だけのシンプルなデザインの便箋が出てきて、彼の字で文章が書かれていた。
内容も便箋に見合うように単調なものだった。
主には3つ。
遺書を渡したことへの感謝。
私への想い。
ある場所の住所。
その3つだった。
上2つは、私の腹の中で消化するとして、気になったのは3つ目。
スマホでググると、その住所は某海沿いの街だった。見覚えは無かったが、行けば何かがわかる気がした。
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