第40話:時事ネタと進路と勉強の鬼
「なーほーざワールド?……ああ、なるほど・ザ・ワールドっていうクイズ番組が昔あったんだよ。父さんが子供の頃に終わっちゃったからあんまり覚えてないんだけどな」
夕食の時間、各地のお地蔵様がしゃべる謎のコメントについて父に聞いてみたら教えてくれた。
「この前やった桃鉄もそうだけど、桃太郎シリーズは時事ネタが多いからな。後からやると確かによくわからない部分が多いかもな」
桃鉄のプレイ中、スリの銀次が野球選手になって「今年もお金をトルネード」と言い出した時は、いとこ達全員がぽかんとしてしまったのを思い出す。伯父によると「トルネード投法」が得意な野茂というピッチャーがいたらしい。同じ野球ネタでもイチローはわかったのだが。
「それより、テストはどうだった?」
「うーん、とにかく50分が退屈だったかな」
「そうか。でも、意外と満点は取れないもんだぞ」
「そうそう。意地悪な問題とかあったりしてね」
父も母も、割と勉強はできるほうだったと聞いている。ただしそれは中学までで、先生に勧められるままに学力で高校を選んだら苦労したと聞いている。だから僕に対しては、単純に偏差値で選ぶのではなく、やりたいことをしっかり考えて学校を選べと小学生の頃から聞かされている。
なお、小学校の同級生の何人かは受験をして私立中学に進んだ。両親も僕に対して中学受験を提案したこともあったのだが、慣れ親しんだ友達と離れるのは単純に嫌だったので断った。両親はそれを聞いて安心したようだった。お金の問題というよりは、市内の教育委員会に親戚や知人がいるので、公立校のほうがいざという時に頼れるということらしい。
*
「ま、お前なら赤点はないだろうし、成績が良かったからといって何かあるわけでもないんだから、気楽にやれよ」
もともとあまり勉強する気もなかったが、父の言葉に甘えて気兼ねなくファミコンの電源を入れる。キジを仲間にしたので、今度は北西のほうを目指してみよう。雪原地帯の強敵に苦戦しつつも、寝太郎の村に到着。
寝太郎はおにぎりが好物というが、何個食べさせても起きる様子がない。現在12段で、ここの推奨レベルは15段らしいので別のところを探してみる。南の方に進むと浦島の村を発見! さっそく話しかけた浦島太郎(偽物)が変身したボス「パールの鬼」も、鹿角の術であっさり撃破!
竜宮城ではタイやヒラメの舞い踊り。もらった玉手箱は怖いから、天の声を聞いてから開けようと思ったがその場で選択を迫られた。キャンセルしてしまったが、もし開いて年を取ってしまっても、村にある若返りの水で元通りということなのだろう。
村人のアドバイスに従って海岸線を北上すると仙人の塔。3連戦となるようだが、戦闘ごとに回復するので鹿角を使い放題である。あっさり飛燕の術をゲット。いわゆるワープだが、マップ上を直接移動するのが楽しいし、まだ見ていない地形も見られるのが面白い。
いくらか強くなったので雪原を探索。
カイロを買って寒さに備える。これで装備欄が一通り埋まった。雀のお宿の周りで稼いで、鶴の羽織と卯月の胴を買い、塔を目指す。「かんじき」がなければ氷の上を歩けないかと思いきや、単に進行方向が反転するだけのようだ。
塔のボスの
情報を整理すると、巾着は仙人が持っている・おにぎりの好きな仙人がいる……片っ端からおにぎりを「使う」でプレゼントしてみようかと思ったら最初の仙人がいきなりくれた。ボスとは再戦することになったが、まあ問題はない。これで寝太郎が退いて橋の先に進めるようになった。色々迷ったりしていたので、この時点で21段。
橋の先に出現したのは、その名も「勉強の鬼」。ファミコンなんかやってないで勉強しろと言われたので、そろそろコントローラを置くことにした。英単語の復習でもやっておくか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます