コミュ症勇者の妄想記

@jinjirou

第1話 とある愚か者の日常

『死にたい』

深夜2時、布団の中で毛布にくるまれ、ブルーライトを目いっぱいに浴びて俺はそう考えた。

理由というのは、傍から見れば深刻でもクソでもないのだが、さっき見たきらら系アニメを見てこの世の無常さを悟ったからだ。

「百合こそ至高」「かわいい×かわいいは正義」「おらっ、もっとくっつけ」

「いや、ここはあえて焦らすというのも」「ちがうんだよ〇ちゃん。△ちゃんは実は〇ちゃんのことを思って……」「ふぅ……」

頭の中では本日も会議が開かれていた。

頭の中の自分たちは常に騒がしい。今日もいつも通り一本のアニメについて彼らは真剣に議論しあう。

やいややいやと意見を言い合っては紺がどんな展開になるのか、どのカップリングがいいのか決める。

それゆえに寝る前のアニメを見るという習慣はだれにも邪魔されてはならない、静かにそれでいて確かに噛みしめるような時間を過ごすという俺にとって大事すぎるものであったのだ。

しかし、その『いつもどおり』はたった一つの些細な出来事でぶち壊される。

ぽこん。

たった一つの軽快な音とともに現れたラインの通知である。

「あ」

思わず声が漏れ出る。

上司からだ。

俺はその内容に恐るおそる眼を通す。

『昨日頼んだ〇〇の件どうなっている?』

クソほど下らない。

クソほど下らない、クソで、俺の、俺の、楽しみにしている時間をぃおいおおおおぽおおこpききおpじおpじゅjjひpこlkj!!!!    !”

再生していたアニメを止めて、ベッドからガバっと立ち上がり、手にしていたスマホをベットの上に向かって、思いっきり投げつける。

「てめぇのクソほど下らない顔をこんな夜中に思い出しちまったじゃねぇか!死んで詫びろやカス」

「そもそもよぉ!業務時間外に仕事の内容のメール入れること自体が違法行為なんだよゴミくず!」

「ふぁっ〇ゅー!!!!」

「百合見てるあいだに入り込んでくんなよ、チンカスのぶんざいでよぉ!」

「死ね」

頭の中の俺らも大荒れのご様子だ。

約五分。俺は深夜ということもありぶつけ様のない怒りをただただ耐えていた。

そして、文頭に戻る。


続きはまた今度!



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