第38話

 氷川さん視点


 「私は、昔からオタク趣味でアニメやゲームが大好きだった。」


「私それ、知らなかったよ。」


「隠してたからね。」


「それで、どうして男嫌いに」


 「中学の頃、コスプレにハマってて前にイベントに参加したことがあったの。けど、それが運悪くクラスメイトの男子に見つかって」


 「まさか、」


「そう、クラスにばら撒かれた。それから、クラスでそのことで虐められてね。それが今でもトラウマになっててね。もう既にトラウマになってた上に、その後は、奴隷になって」


「・・・その後は知ってるからいいや」


「・・・わかった。」


「ねぇまう」

 まきは私を優しく抱きしめる。


「何?」


「辛い過去は消えないけど、コスプレしてた時のまうはすごく楽しそうだった」


「うん、やっぱりどんなトラウマがあってもコスプレは好き」


 「あの時、男の人・・・ご主人様がいても楽しかったよね」


「うん」


「これからは、少しずつ私達との思い出を増やしていこうよ」


「そうだね。」


「うん、きっとそうだよ。」


 私はまだご主人様を信頼することは出来ないけど、いつか、もう少しは男の人に心が許せる時が来ると良いな。


  「それにしても、酷いよね。そのばら撒いた男子達。」

 

  まきは私の話を聞いて怒ってくれている。今の一言だけでも、辛かった過去が癒やされる気がする。


「いつかさぁ」


「うん?」


「仕返ししようね。」


「えっ?」


「私も、仕返ししたい奴がいるから」


「そうなの?」


「うん、私は絶対復讐する」


「まきもそんなふうに思う人が居るんだ。」


「そうだよ、私は復讐同盟だよ。」


「・・・いいね。」


そして、私達は二人が起きない声で笑った。


「それにしても、まう」


「どうしたの?まき?」


「本当は、ご主人様はもう少し私達に復讐を考えるべきだよね」


「私は、そんなことされたら、こんな電撃に耐えて意地でも妨害するけどね」


「まうらしい」

 過去の電撃の際にトラウマを負った氷川からそんな返答が来ることがまきは嬉しかった。

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