第8話

今日は土曜日だ。


 朝、郵便ポストに支給金が入っている。俺のような未成年で、学力で貴族になった者には国から支給金が入る。正直これは嬉しい。


 「おはよう、真川さん」


「・・・はぁ・・・っ!!」

寝ぼけた真川さんは思わず油断してしまった。

 いたっ!!


 「・・・すいません、ご主人様。それとありがとうございます」


「いいよ、お陰で目が覚めたよ。」


「・・・私もです。」

俺たちは初めて笑った。朝から笑えるのは気分が良い。


ーーーーーーーー

 酷い、町に出るともう俺の知っている世界とは違っている。


 チェーンで奴隷を引っ張っている人がいる。そういえばセットの中に入っていたが、そんな使い方をしてるなんて

 「ほらさっさと歩け!!」


 「・・・っ!!」


「酷い」

真川さんも辛そうだ。


 説明で聞いたが、

貴族が何をしても刑罰にはならない。だから人の本性がよく出ている。


 奴隷とペアで歩く人が大半で、首輪をつけてない一般・・・平民の人は全く居ない。


 「平民の人がいないね。」


「はい、基本的に平民は貴族に逆らえません。何か問題があると、奴隷なってしまうからです。」

どうやら、それも説明で聞いたようだ。


 

 中には絶望した顔をしている人がいる。昨日のうちに相当酷いことでもされたのだろう。


 俺が何か出来る訳でも無い。悔しいけど、今は目的地を目指すしかない。


ーーーーーーー

 そして、


 「本当にやめてよ!こんなの、大切な物がいっぱいあるんだから」


立ち入り禁止のテープが貼られている。


  「思い出の物だって、たくさんあるのに!!」

そして無理矢理入ろうとすると真川さんの体中に電気が走る。


  「いたっ!!」 「痛っ!!」



  「代わりに取りに行ってあげるよ」


「ありがとうございます!!」


すると、痛っ!!手から電気が走る。


 「・・・ご主人様!!!」


 ただ痛みが弱いのがわかる。明らかに手加減はされている。


 「大丈夫、君のほど痛く無いみたい」


「・・・ですが」


「・・・もう治った。」


「よかったです。」


「ごめんね、俺も入れそうにないや」


「いえ、ありがとうございます。ここに連れて来てくれただけでもありがとうございました。」



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