第7話

「それにしてもよかったね、カルラ!これでもう王国から何も咎められることはないよ!」


「そうだね。これもルルツのおかげ。でもなんだか私怖いわ。私の力がこんな風になるなんて...」


「まあ、確かにそうだね。この力を悪用すればどんなことでも出来る。それを僕が守らなければならない。それよりパンプキンクリームパフェ食べに行こうか?」


「うん!」


カルラはあどけない表情で返事をした。


それからルルツの壺の評判が広がり、壺を求める者で溢れた。しかしルルツはその都度カルラの負担がかかる事を懸念して拒んでいた。しかし欲を求めるものはおいおいにして暴力に変わってきた。ついにはルルツの研究所まで石を投げられるようになった。これではルルツもカルラも命の危険にさらされる。そう思い、抽選でひと月に10名だけ1万リルで売ることにした。1万リルとはワインの樽一本分の値段である。


「しかしね、ルルツ、こんな高い値段だけだとお金がない人には何にも恩恵がないんじゃない?」


「でも高いお金をつけないと悪用する人が増えるだけだよ。それにカルラの負担も増えるし。」


「私の負担はそこまではないわ。そうだ。病気などで苦しんでいる人の苦痛をやわらげるのはどうかしら?」


「それはいいけど、カルラの負担は大丈夫?」


「私は無意識で幻覚を見せることができるのよ?そこにルルツの薬で作用してこういうことになってるのだから。だからルルツは同時に何十人をいっぺんに私のクオリアクラウドだっけ?それを共有できる装置を作ればいいのよ!」


「なるほど。確かに、ヘルメットで頭や壺を通してクオリアクラウドに入り込むという装置だったが、直に頭に届けるものか。それも複数人に...。できなくはなさそうだ...。」


ルルツはそう言ってまた研究に没頭するのであった。


カルラは父親みたいな存在のルルツに複雑な感情を抱いていた。命の恩人であり、魔女と呼ばれた自分を人として見てくれたり、いつもそばにしてくれたりしたからである。だからこそ自分の負担を顧みずにルルツにそんな風に言うのであった。


to be continued...

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