第10話

今日の分の撮影が全て終わりバス停で待っていると遠月さんに呼び止められた。

走ってきたのだろうかなり息を切らしている。

「呼び止めてごめんね。悪いけど打ち上げするみたいだからうちの三笠と一緒に店で待っててくれない?場所は三笠に伝えてるから」

「はぁ、わかりました」

遠月さんに言われた通り三笠と共に打ち上げ会場のファミレスで待つ。

しかし二十分、三十分と時間が経っても誰一人現れない。

(この沈黙、気まずいな)

ほとんど無言でどちらかが話すのを互いに待っている状態だ。

「あ、花蓮からだ」

どうやら遠月さんから電話がかかってきたみたいだ。

我慢の限界だからかこの空気が耐えきれなかったのか即効で電話に出た。

「花蓮っ!もうかれこれ三十分近く待ってるけどいつ来るのよっ!」

『すみません、みなさん急用で』

「なら連絡の一つくらい寄越しなさいよっ!」

『返す言葉もありません〜。とにかく私もほかの仕事で行けませんから二人でごゆっくりしてください。お金の方は経費で出しますので』

「なっ!まだ話おわってないのにっ!」

反応からして通話を遠月さんから切られたようだ。

「やれやれ、まんまと遠月さんの罠に嵌るとはな」

「それ特大ブーメランだと思うけど」

「それは否定できない。ま、誰も来ないなら帰るか」

「ちょっと待って」

席を立つと腕を三笠に掴まれた。

「なんだよ。俺は帰って妹の相手をだな」

「妹とこんなに可愛い美少女どっちが大事なの?」

「妹」

「このシスコンっ!」

「冗談だ。お前は立派な女優で俺みたいなやつと一緒にいたら色々とダメだろ。世間的に」

「別に私はいいし」

「いやお前が良くても、、、分かった、三十分だけな」

三笠の手が緩み席に戻る。

「その好きな食べ物って何?」

「合コンかっ。まぁ妹が作った料理ならなんでも」

「これからはシスコンって呼ぶわ」

「否定はしない」

「否定しなさいよっ。反応に困るんだけどっ!?」

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