1ページ物語。

太田肇

錆びた短剣

森で遊んでいた姉弟が盗賊たちに襲われた。姉は弟を守るために盗賊たちと森の奥へと消えた。弟は急いで家に戻りそのことを両親に言った。両親は急いで村を駆け回り、助けを求めた。半刻後、村人全員で森へ向かった。


陽の光があまり届かないほど、茂った森の奥で真っ赤に染まった姉を見つけた。血の海と盗賊だった肉の塊。弟は姉が盗賊たちを皆殺しにしたのだと悟った。姉の手には錆びた短剣が握られていた。


村人たちは姉のことを恐れるようになった。両親でさえ姉を恐れた。いつしか姉は化け物と呼ばれるようになった。弟だけは姉を以前と変わらず愛し続けた。弟は今度は自分が姉を守る番だと誓いを立てた。


ある夜、村が盗賊に襲われた。弟は姉を探したが、どこにも見つからなかった。家に盗賊が入り、まず両親が殺された。その後、盗賊の凶刃が弟の胸を貫いた。大人から子供まで村人全員が殺された。盗賊の手には錆びた短剣が握られていた。

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