第9話 SS級&SSS級VS人型巨神獣
「ど、どう言うことでしょうか……人型の巨神獣を人間が作っている……?」
「これをみる限りそうらしいな。単体でもSS級に届きうる強さだ」
アリシアは目の前で昏睡して浮かんでいる人型巨神獣に目を遣りながらこの施設の全貌を探ろうと魔力を広げる。
しかし巨神獣を起こしてしまわない様に慎重に。
一方ソアは、先程から得体の知れない不気味な雰囲気に寒気を覚えていた。
そして身体の芯まで底冷えする様な寒気は、自身が前に進むほどに強くなる。
「……何なのでしょう一体……」
しかしこれほど寒気はするのに、原因は未だ不明。
殺気とはまた少し違う不気味な気配にソアが異能力を発動させようか迷っていたその時———
「———ソア、来るぞッッ!!」
アリシアの切迫した警告と共に目の前の———それだけでなく、全ての人型巨神獣の入っているカプセルが砕け散り、奴らが眠りから覚める。
「「「「「「ア、ァァァァァァァァァァァァァァァ……!!」」」」」」」
人型巨神獣は呻き声の様なモノを上げながらゆっくりとカプセルから出て来た。
「ソア! 急いで私の後ろへ!」
「は、はいっ!」
ソアは戸惑いながらも反射的にアリシアの方へ向かう。
しかしそれをタダで許す様な相手ではなく、俊敏な動きでソアの体を剣に変化した腕で貫く———
「———させない」
ことはなく、その前に雷をその身に纏ったアリシアが腕を粉砕する。
その痛みに体をのけ反らせた巨神獣の身体に触れ、1億ボルトを超える強力な雷電を流し込む。
———バリバリバリッッ!!
「ァァァアアアアアア!?!?」
「五月蝿いぞ人間モドキ。此方に貴様らの相手をしている時間はないんだ」
アリシアが瞳を輝かせると同時に屋内であるはずの地下に極雷が降り注ぐ。
「大丈夫かソア?」
「はいっ! これからは私も援護いたします! ———《女神の加護》」
その瞬間———ソアを中心としてこの研究所全域を囲む程の陣が出現し、アリシアの全身体能力を底上げするバフが掛かる。
逆に人型巨神獣達には全身体能力を下げるデバフが掛かった。
「はぁはぁ……す、すみませんアリシアさん……あまり持ちそうに無いです……思ったよりも巨神獣の数が多くて……」
ソアは息絶え絶えに言葉を紡ぐ。
その言葉は弱々しく、顔も真っ青で見るからに無理をしていることが手に取るように分かった。
アリシアは急いで終わらせるために更に雷鳴を轟かせ、雷と同じ速度で縦横無尽に駆け回る。
その規格外の速度に、ただでさえデバフの掛かった人型巨神獣達には対処出来ず、次々と感電して内側から焼かれていく。
こうして順調に進んでいくと思われたその矢先。
「……む?」
アリシアは攻撃のタチャでふと違和感を覚えた。
先程倒した巨神獣は、寸分違わず心臓を狙ったはずが、ほんの少しずれていたのだ。
それをアリシアは始め、まぐれかと思われたが、徐々に戦っていく内にまぐれでは無いことに気付かされる。
「———ぐっ……はぁあああ!!」
「ァァァアアアアアア!!」
アリシアが攻撃を与えようとした瞬間、自分の腕を犠牲にしてアリシアの横腹を掻き切ったのだ。
痛みに喘ぐアリシアだが、気合いの咆哮で人型巨神獣の仰け反らしてから貫手で硬い装甲を貫く。
しかし仲間が死んだことなどお構いなしとばかりに新たな人型巨神獣が襲い掛かる。
圧倒的な数と一体一体がそこそこ強いこともあり、徐々に押され出すアリシア。
しかしアリシアよりも危険だったのが———ソアだ。
「うっ……ごふっ……」
ソアは先程からアリシアの捌けない分の巨神獣が迫って来ており自身のクランの召喚術士の精霊を3体出しているが、1対1が限界で、何度も攻撃を喰らっていた。
ギリギリ致命傷は避け、攻撃を喰らっても回復させているが、人型巨神獣は魔力ポーションを飲む時間すらも与えてくれない。
そこでソアは、一か八かの賭けに出た。
取り敢えずアリシアの身体強化だけを残し、後のデバフを解除。
そこで残った魔力で新たに異能力を発動させた。
「———《女神の加護:神徒》っっ!!」
眩い光がソアを包み込み、巨大で真っ白な翼を羽ばたかせる。
頭の上に輪っかが現れ、瞳は美しい黄金色に変化した。
「———《神罰》」
ソアが唱えると同時にソアの背後に巨大な天秤が現れ、その天秤が傾くと……人型巨神獣達がその場に跪き、身体がボロボロと光となって消えていく。
突然の事で何があったか分からないと言った風に困惑している人型巨神獣達だったが、それ以上にソアの顔は苦痛に歪んでいた。
(そんな……神罰でも消滅させることができないのですか……!? ですが此処で倒れるわけには……)
ソアは瞳を更に輝かせながら血の涙を流して歯を食いしばりながらカッと目を見開く。
「———《神罰》ッッ!!」
更に天秤が傾き、人型巨神獣達は地面に縫い付けられたかの様に地に臥した。
そして身体は先程の比ではないほどに崩れ、どんどんと消えていった。
しかしそれと同時にソアの神徒も切れ、その場に膝をつく。
(ま、魔力が……や、やはり、あれほど広範囲に付与を使った後では……)
全身の脱力感と頭がガンガンと打ち付けられるかの如く痛む。
意識が朦朧とする中、必死に雷を身に纏って戦うアリシアの姿を捉える。
彼女は未だ大きな傷はなく、大量の巨神獣に囲まれながらも戦えていた。
しかし、それでも今の量を捌ききるのが限界で、ソアを護る事は難しそうだった。
徐々に此方に近付いてくる人型の巨神獣達。
此処で人生で初めて死を覚悟した。
(せめて……さ、最後くらい……神羅様と———)
意識が途切れそうになったその時———
「———琴葉、彼方の加勢は頼んだ」
「うん。任せて」
突如———目の前を眩くて、広大で、無限の力強い白銀の光が包み込む。
その光に触れた人型巨神獣は先程の自身の神罰の様に光となって消えていく。
呆然としたソアの身体を誰かが抱か上げる。
「し、神羅様……?」
ソアを助けた男———神羅は、よくやったと言わんばかりにボロボロとなったソアの頭を優しく撫でた。
「よく頑張った———後は俺達に任せろ」
ソアはその光景をしっかりと全身で記憶してから笑みを溢し、意識を失った。
とても心地良くて安心のする、念願の推しの体温を感じながら———。
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