第24話 『戦女神』と『神越』

 ごめんなさい。

 今回も三人称になった。

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 光輝のスピードは決して光速程の速さではなかった。

 何ならマッハ5くらいの速度くらいしか出ていない。

 

 しかし———


「———はぁああああああああ!!」

「%$¥#23$#¥$#¥$ッッ!?!?」


 巨神獣の攻撃は全て聖剣によって斬り捨てられ、巨体なのも相まって避けることが出来ず、ひたすらに攻撃される。

 更に聖剣は先程とは違って巨神獣の皮膚を斬ることが出来た。

 光輝は着実にダメージを与えていた。


 しかし負けじと全方位から魔力の水弾で攻撃をしようとする巨神獣だが———


「させないですよ」


 それは唯の光の大剣によって即座に斬り伏せられたり、ビームが相殺されてしまう。

 巨神獣はイラつき自分のを中心とした全方位を咆哮で攻撃しようとした瞬間———


「———《絶対零度》」


 空気が固まり、それが壁となって咆哮を塞いだ。

 光輝と唯は突然の事に驚いた様に声の聞こえた方を見て……固まる。


 そこには———


「———神羅に勝手に転移されたのも腹立つけど…………神羅を苦しめた貴方は絶対に許さない……ッ!!」


 此方に手を翳し、周りにはキラキラと氷の結晶が太陽に照らされて光り輝き、魔力を燃える様に立ち昇らせる、明らかにブチギレている琴葉の姿があった。 








「こ、琴葉先生……? 師匠と一緒に居るはずでは……」

「神羅には転移させられたわ。でもいいの。神羅は私のことを思ってやってくれてるから。此処に来たのは、私から神羅を奪っていた奴をぶっ飛ばすため」

「おー琴葉がキレてる———っていってる暇はない様ですね」


 素直に驚いた表情をする光輝に琴葉が告げる。

 そんな琴葉を一瞬揶揄う様な表情を浮かべた唯だったが、突如飛んできた水弾を斬り裂きながら真剣な表情に変わった。

 それを皮切りに3人対EX級巨神獣の戦いが始まる。


「———《勇者の剣》ッッ!!」


 光輝がそう叫んで振り下ろすと同時に聖剣が光り輝き、飛ぶ斬撃が射出された。

 その斬撃は数多の水弾を消し飛ばしながら、巨神獣の身体に直撃。

 更に、追撃とばかりに唯の光の大剣と琴葉の氷の礫の圧倒的物量による雨が巨神獣へと繰り出される。


 しかし巨神獣もタダでやられる訳ではない。


 光輝達の攻撃を物ともせず、ほぼ無傷な状態でとうとう海上から浮かび上がったのだ。

 そのため———海によって隠れていた場所が全て晒される。


 まるで飛行船の様に———いや、それ以上の大きさだった。

 自分たちの頭上にくれば視界が一面巨神獣で埋め尽くされてしまうほどに。


「……で、デカい……!」

「さすがEX級巨神獣ですね……」


 光輝があまりのデカさに目を見開いて驚き、唯は今まで出会った巨神獣とのあまりの大きさの違いに顔を引き攣らせる。

 しかし琴葉だけは先程と変わらず憤怒に燃えた目で巨神獣を睨んでいた。


 そんな時、巨神獣の口元が淡く光出す。

 攻撃はピタリと止み、その全ての魔力が口元に集結し始めたのだ。


 その膨大な魔力に2人はビクッと震えるが、琴葉だけは冷静に観察していた。

 ひたすら巨神獣を見ていた琴葉が突然視線を唯に移す。


「———唯、光の鎖出して」

「え、あ、はい」


 唯はいつもの余裕そうな態度を急変させて、琴葉の言われるがままに巨大な光の鎖を出現させる。


「じゃあそれで一先ず巨神獣に縛って」

「どうしてですか?」

「……貴女に敬語を使われるのは気持ち悪いけど今は何も言わない。いいからやって」

「……はぁ……もー強引なんだからー」


 唯はそう言いながらも琴葉の指示通り動き出す。

 あっという間に巨神獣のいる高度より高く舞い上がった唯は、巨神獣を縛るべく光の鎖を操る。

 そして巨神獣に絡み付く瞬間———


「————————ッ!!」

「あっ———」


 ———ズドオオオオオオオオオオオオ!!


 光の鎖諸共巨神獣の放った極大のビームによって掻き消され、島の半分を、海を、果てには海底すらも消し飛ばし、巨大な穴が出来る。

 幸いな事に既に生徒は学院に転移しており被害者は居ないと思われるが、それでもその威力は、神羅が北海道の一角を吹き飛ばした時の威力を超えていた。


「———皆はっ!?」


 唯は先程まで島にいた2人を探すと、海上に浮かぶ琴葉と水の上を走る光輝の姿を捉え、ホッと息を吐いた。

 しかしすぐに唯は下降すると、琴葉達の下へ戻る。


「———大丈夫だった!?」

「……琴葉先生のお陰で何とか避けれました。それに……聖剣が無かったら危なかったです」


 光輝は咄嗟に身体強化と《勇者》の限界突破を使用して自身の力を限界以上に引き上げた後、聖剣で神羅に教えてもらった受け流しを実践したのだ。

 そのお陰で少し軌道が逸れたビームは、光輝達のいた場所を含めた島半分を護ることが出来た。

 しかしそのせいで光輝の身体はもう異能を支える様な状況ではない。


 そんな1番な攻撃力を持った光輝を失った事で万事休すかと思った唯の耳に、突如琴葉の言葉が入ってきた。


「……《絶対零度》」


 琴葉は2人を置いて海上に移動すると、最大出力で異能を発動させる。

 途端———海がまるで北極の分厚い氷の様に凍り付く。

 それはどんどん広がっていき、やがては巨神獣と同じくらいの大きさにまで氷が出来上がった。


「こ、琴葉……? 琴葉は何がしたいのですか?」

「……分からない?」

「——————もしかしてぶつかるつもりですか!?」

「はい? そんな事無理に———」

「正解だよ神羅の弟子君」

「し、知っていられたのですか……?」


 光輝は神羅が琴葉には言っていないと言っていたことを思い出して少し驚く。

 しかし琴葉はこてんと首を傾げると何でもないかの様に告げた。


「別に神羅が言わなくても分かるよ? だって私達、お互いに通じ合ってるもん」

「「……え?」」


 2人が突然の惚気に目をぱちくりさせていると、琴葉は再び巨神獣の居る上空を見上げて呟く。



「……神羅を傷つけた代償は負わないと。勿論———」



 その瞬間———地響きと共に、氷が徐々に浮き上がる。

 そして加速しながら巨神獣へと近づいて行き———




「———神羅の手で、ね?」


「———ナイスだ、琴葉」


 


 ———ズガァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


「¥2$€#$°¥#$#2>¥%$#¥326×3¥!?」


 巨神獣に神羅の渾身の踵落としと、琴葉の超巨大な氷が同時に直撃した。



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