第22話 姿現すEX級巨神獣『ケートス』
今回は三人称です。
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神羅が中村と戦う数分前。
光輝達Eクラスは海岸に現れた1匹の巨神獣にクラス全員———37人で立ち向かっていた。
「み、皆行くぞ!! ———《身体強化》ッッ!!」
「「「「「「「「「「「「《身体強化》!!」」」」」」」」」」」」」」
クラスの中心人物である
このクラスの平均Levelは100〜200程度で、その中で1番高い浅井智紀でさえ500。
対する相手はE級ゴカイ型巨神獣。
その気持ち悪い姿も相まって生徒達の士気はあまり高く無く、智紀が居なくなれば一瞬で瓦礫するだろう。
そんな中、神羅と修行と言う名の地獄のレベルアップを行った神羅の弟子の光輝は、他の人から少し離れた場所でジッと敵を観察していた。
別にサボっている訳ではない。
「俺しかコイツは倒せないだろうから皆が気付かない内に倒さないと……!」
光輝は唯1人、他の生徒が向こうに注目している間に目の前に現れたC級巨神獣と対峙していたのだ。
現在倒した数は3体で、狼型の巨神獣達の頭がどれもへしゃげている。
しかし、狼型の特徴である群れでの行動のせいでまだまだ残っており、命を賭けて戦っていなければ、他のクラスメイトも気付いていただろう。
……そうしたら間違いなく皆は戦意を喪失して混乱するだろうな……。
光輝自身、神羅に鍛えて貰っていなければ今頃地面に尻餅をついて恐怖にその場を動けなくなっていたと自信をもって言える。
「今の俺のステータスなら十分に対処できる……ビビらなければ余裕だ……」
光輝が自分に言い聞かせている様に、実際に余裕で勝てるステータスを持っていた。
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大橋光輝
Lv.1110,520
体力:1,193,504/2,221,040
魔力:1,110,520/1,110,520
攻撃:S
防御:SS-
敏捷:S
【異能】
《身体強化・真》《???》
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レベルは西園寺優斗よりも高くなって学院初のレベル100万に到達していた。
そのお陰でステータスは優斗には及ばないものの、間違いなく学院でも最上位に入るほどの力を持っている。
相変わらず異能は解放されていないが、《身体強化》は進化をしてより強力になった。
更に普通の現役覚醒者にも勝てるまでの成長を見せた光輝は、ここ数週間の間神羅に言われて巨神獣とひたすら戦っており、既に巨神獣への恐怖は消えていた。
神羅とも相変わらず組み手のような事はしているので身体の使い方も徐々に良くなっている。
「疾———ッッ!!」
光輝はグッと身体を前に倒すと、地面を思いっきり蹴って、今までの光輝からは考えられない速度で狼達の前へと飛び出した。
そしてコンパクトな動きで的確に弱点である狼達の鼻を潰していく。
C級の巨神獣には効果の動きを目で捉えることなど敵わず、なす術なく顔面を陥没させられて命を散らしていた。
しかし狼型の巨神獣は他に比べて頭がいいため、直ぐに森と言う立地を使って自らの身体を隠す。
「むっ……奴らが見えなくなった……と言うかこの森って何でこんなに真っ暗なんだ?」
光輝は先程以上に警戒しながら辺りに視線を巡らせる。
覚醒者のため暗闇にも対応出来るが、あくまでも光を増幅させてみているだけなので視界が悪いのには変わりない。
そんな時———音もなく体長10数メートルの狼型巨神獣が後ろから光輝に襲い掛かる。
「———ガアッ!」
「っ、まだ対応出来る……!」
光輝は一瞬大きく目を見開いて驚いたが、直ぐに顔を引き締めると振り向きざまに裏拳を繰り出して狼型巨神獣を軽々と吹き飛ばす。
「「「「———ッガァアアアアアアアアアアアア!!」」」」
仲間が吹き飛ばされたからか、それとも作戦が上手くいかないからか、狼型巨神獣が全方位から同時に攻撃してくる。
狼型巨神獣の鋭い鉤爪が光輝の身体に触れる瞬間———
「この程度じゃやられないぞ……!」
光輝はグッと身体を沈めて鉤爪や噛み砕きを回避すると、アッパーを繰り出して巨神獣を爆散させる。
その音と光輝の強さに、巨神獣達は恐れをなしたのか、再び暗い森に隠れて逃げ帰っていった。
光輝は近くに巨神獣が居ないのを確認すると、緊張の糸が解けたのか地面に腰を下ろす。
(はははっ……遂に俺も誰かを護れるまでに強くなれたんだなぁ……)
数週間前まで落ちこぼれと他クラスに蔑まれていた自分が、今では気のいいクラスメイト達を護れるまでに至ったのだと感じて思わずと言った風に笑みが溢れる。
しかし冷静になった時、ふと外が静かな事に気付く。
(何でこんなに静かなんだ……? も、もしかして———ッ!!)
光輝は最悪な事態を想像し、背筋がゾッとして身体が震える。
(い、急いで戻らないと……これで皆を護れなかったとなれば一体何のために強くなったと……それに師匠の弟子失格だ……!)
震えている場合ではないと直様起き上がり、急いでクラスメイト達の下へ戻る。
光輝がクラスメイトの下に戻るとそこには———
「「「「「「「「「「「「「ハァハァハァハァハァ……」」」」」」」」」」」」」」
「…………」
物言わぬ骸となった巨神獣と、肩で息をしながら地面に倒れているクラスメイト達の姿が目に飛び込んできた。
見た感じ多少の怪我はあるようだが、重傷を負っている者は見つからない。
ふと光輝を見つけたクラスメイトが駆け寄ってくる。
そして智紀がガッと光輝の肩を掴んだ。
「大橋! お前、何処にいたんだ!?」
「あ、少し森の中に……」
「森!? 何ともないのか!?」
「あ、うん……」
光輝が森と言うと、途端に顔色を変えて智紀だけでなく、他のクラスメイト達も駆け寄ってきては仕切りに大丈夫かと問われる。
普段全く話した事ない人たちからも気遣われて光輝が不思議そうに呟いた。
「ど、どうして友達でもない俺を心配してくれるんだ……?」
光輝がそういうと、智紀達は目を丸くして驚いていたが、直ぐに笑みを浮かべた。
「お前は俺達Eクラスの仲間だ! 心配しない訳ないだろ!」
その言葉を聞いた途端、光輝の胸に熱いものが込み上げてきた。
(俺も皆の仲間だったんだな……)
「———安心しろ大橋! 俺がお前を護ってやるからな! 大舟に乗ったつもりでいろ!」
「俺じゃなくて俺達だろ! あたかも自分の功績のように言うな!!」
「五月蝿いぞお前達!!」
「「「「「「あはははははははっ!!」」」」」」
「皆……ありがとう……!」
光輝が嬉しげに皆に感謝の言葉を述べたその時———
———ザバァァァァァァァァァアアアアアアンッッ!!
海がまるで割れたと錯覚するほどに裂け、膨大な海水が空へと打ち上がる。
その振動は仮にも覚醒者である生徒達ですら立っていられないほどの揺れだった。
そしてそこから現れたのは———
「な、何だよあれ……っ?」
———巨大と言う言葉ですら言い表せない程の体長優に数キロメートルほどありそうな巨体と、見ただけで体の芯から震えが止まらなくなるほどの威圧感を纏った鯨型の巨神獣だった。
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