この気難しそうな姫様をちょうど30日で落とします

やまたふ

1日目(邂逅)

 彼女の名はラフィ。

 この国の王女である。


 わけあって、今はこの広い辺境の領地を一人で治めている。



「ふぅ。今日も公務で疲れましたね。少しベランダで夜風にでも当たりましょう」



 ガチャ。



「どうも、僕です」



 そう言って、男は誰もいないはずのベランダでニコリとほほ笑んだ。



「……あの、どなたかしら?」

「貴女(あなた)を“落とし”にきました。というわけで、僕と付き合ってください」

「嫌です。お引き取りを」

「そうですか。しからば」


 シュバッ。




「…………へ、変な人」

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