指先の呟き・2

基維ひなた

第1話 細い虫

気がつくと知らない家にいた。

壁にぼろぼろのタペストリーが揺れている。

風もないのに、と指で触れる。

それは無数の虫だった。

指先から次々と細い虫が入ってくる。

身体中に黒い線が浮かび踊る。

虫が虫が虫が虫が。


目が覚めた。

夢か、と額の汗を拭う。

目の端で何かがずるりと動いた。















ーーーーーーーーーー

爪の下で黒くて細長い虫が踊る夢、昔はよく見ました。

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