怪獣ペニス
零下冷
日課
今日も、いつものように。
そういう気分になったら、俺は特殊能力を使うのだ。
俺に授けられた能力。それは、体の複製のような幻影を作ることができる、というものであった。こう言葉にしてしまうと、いまいち理解しがたいのだが。
説明の努力をしてみよう。
例えば、座標Aに俺本体の右手があったとする。そして、座標Bに右手の幻影を作る。するとどうなるか。
座標Aで俺が前にパンチを繰り出せば、座標Bでも右手の幻影がパンチを繰り出すのだ。つまり動きはリンクしている。また、右手だけの幻影を作ったので、当然座標Bには生首ならぬ生右手だけがフワフワ浮いている。
ここで重要なのが、感覚も本体と幻影でリンクしているという点だ。つまり、幻影の右手をつねれば、本体もつねられた感覚になるのだ。
そして最後。俺はこの幻影のサイズを自由に変更でき、座標のリンクの縮尺もそれに応じて変わる。二倍の幻影を作って、本体を1㎝動かすと、幻影は二センチ動く、みたいな。まあそんな単純な計算でもない気がするけど、簡単に言うとこんな感じかな。うん。
とりあえず、こんなもんかな。
俺の能力の説明はとりあえずこれくらいにして。
はやくシたいんだ、早速はじめようか!
俺は自宅の部屋で窓を全開にする。そして、閉まっていたたカーテンをほんの少しだけ開けて、外が見えるようにする。
そして俺はズボンをパンツごと脱いだ。
ぱさっ、と床に落ちる音が聞こえる。
それ以外には今、この部屋に音はない。
そんな嵐の前の静寂でさえ、俺は楽しんでいた。
先程開けたカーテンから外を見る。俺の家は高台なので、街が良く見える。都会でも田舎でもない。それなりの家、それなりの会社、それなりの小売店が並んでいた。
「ああ。俺は今からここを、めちゃくちゃにするんだ」
そう思うだけでゾクゾクした。パンツの中から先ほど出てきたモノが、既にピクピクと動き始め、頑丈になろうとしていた。
特定されないようにするため、あまり地元で能力は使わないようにしているのだが。たまにの贅沢だった。
「<
俺がそう叫んだ瞬間。映画に出てくるような怪獣よりも大きな俺のペニスが、目の前の街に現れた。袋は作っていない、竿だけである。そして、俺がブルルン!と自分のペニスを振るのと同時に、街に現れた巨大なペニスも、それに呼応するようにブルルン!と暴れた。
それだけで。俺がペニスを振っただけで、何十の。いや、下手したら何百もの建物が壊れ、何百もの人が死んだ。
俺は、とてもゾクゾクした。
俺が大好きだった、でも彼氏がいた先輩は、今ので死んだかな。俺が可愛いと思ってた、思わせぶりな態度をしてくるあざとい同級生は、今ので死んだかな。あの娘は、あの娘は、あの娘は―――――――――――。
俺のペニスで、死んだかな。
こういう風に、知っている人間を思い浮かべながら能力を使うことができるのが、地元で能力を使うことのメリットだ。
しかし。きっと、俺が知らない人だったとしても、かわいい人、美人な人が、今の一振りで死んだだろう。俺のペニスの一振りで、あっけなく。ああ、それがとても幸せだ。
そんなことを考えていると、俺のペニス(本体及び幻影)は、既に岩のように固くなっていた。
さあ、続きを始めよう!
俺は地面に擦り付けるように、ペニスを動かす。ギャリギャリギャリ!!と外から音が聞こえる。建物も巻き込みながら暴れているのだ。
母校の中学校が。(母校の小学校は前にやった時にぶっ壊した。)よく行っていた図書館が。昔通った児童館が。公園の遊具が。
すべての建物が、俺のオ〇ホールとして、俺のペニスの刺激材料になっていた。
最高に気持ちが良かった。刺激ももちろん、すべてをめちゃくちゃにして得るこの快楽が、最高なのだ。
地球とは、世界とは、俺のオ〇ホールだったのか。
そう思わせるほどに。
そして、その快楽の頂点こそが。
俺のペニスによって異性が死ぬ瞬間を見ることだった。
俺は窓の外を眺めた。女の人を探す。
いた。全く知らない女子高生が、走って逃げていた。ペニスから遠く離れるように。
でも、無駄だ。
そして俺は、ペニスの座標を動かす。
一度浮かせて、ゆっくりと慎重に、女子高生の上空へと座標を合わせる。
それに気づいたのか、さらに走る速さを上げるが、無駄だ。
この巨大なペニスに対して、人間の徒歩程度で逃げられるはずがないのだ。
どこで潰すかは、もう決めてある。
ペニスの頭と、裏のスジの間あたりのトコロで、ゆっくりと味わいながら潰していくのだ。
さあ、もうすぐ触れるぞ。
女子高生は、逃げるのは無理、と判断したのか、両手を挙げて、ペニスが下りてくるのを防ごうとした。だが、これもやはり無駄である。
この巨大質量(幻影だが)に対して、そんなことで対抗できるはずがないのだ。
「いやあああああああああああああああああああああああ!!」
という悲鳴が高台であるここまで聞こえる。おそらく先程から叫んでいただろうが、火事場の馬鹿力だろうか、死に際のセミ、と言うべきか?初めてここまで声が届いた。
そして。より興奮した。
最高のオカズじゃあないか。ありがとう、名も知らない女子高生。
今日も最高の自慰になりそうだ。
ゆっくりと、ゆっくりと、下におろしていく。
幻影と本体では縮尺が難しいが、慣れればお手の物だ。
ちなみに最初の方は、ミスばかりですぐにプチっと潰してしまってばかりだった。
そして、女子高生はなんと、素手で俺のペニスを触ってくれているのだ!
その点でも彼女は最高である。重ねて礼を言おう。
ああ、そろそろ抑えられなくなりそうだ、我慢しなくては…!
女子高生は当然ペニスを押し返すことができず、ゆっくりと低姿勢になっていき、ついには仰向けで寝そべった状態になってしまった。しかしそれでもペニスを押し返す手は諦めていないのだから大したものである。
「いやだ!いやだ!いやだ!―――――――!」
彼女は今、どんな気分なのだろう。
じわりじわりと、ペニスに潰されそうになる感覚とは、どんなものなんだろう。
彼女は今、俺のペニスの匂いを感じているのだろうか。そして、彼女自身にも、俺のペニスの匂いが定着してきただろうか。しかしそれを確かめる術はない。何故なら、今から俺のペニスに潰されてしまうからだ。残念だが、これも仕方のないことである。
そして。
プチッ、という感触がした。
彼女が、ペニスに潰されて死んだ。そう分かった。
まだだ。
そして俺はそのまま、床オナの要領で、ペニスの幻影を地面に擦り続けた。
きっと彼女は今、俺のペニスにすり潰されているだろう。ああ、そろそろ潮時か。
そして、俺は絶頂を迎える。
手の届く範囲に準備をしておいたティッシュに、本体から出てきた液体を出す。
幻影の方からも出すことはできそうだが、いろいろと後々大変なことになりそうなので、幻影からは出さないように能力を調整している。
幻影も消した。
そして、今日の俺の日課が終わる。
「ふう。テレビでも見るか」
ティッシュに出た液体の匂いを嗅いでからごみ箱に捨て、部屋の中にあるテレビをつける。
手を洗うのは後ででいいや。
そのままの手で、リモコンをつかんでチャンネルを回す。
”緊急速報です。○○県○○市○○駅付近で、再び怪獣ペニスが現れました!””なお、現在は姿を消した模様です””軽傷も含めおよそ8000人にも上りました””引き続き警戒を強めていくとの””また、17歳の女性、合崎美奈さんのみが不自然な””警察は、事件の可能性も””が現れたのは、今年に入ってから16回目””家族との避難場所の確認を””————————————————
どこのチャンネルでも怪獣ペニスのニュースでもちきりだった。
俺はテレビを消し、そのままベッドで眠りについた。
怪獣ペニス 零下冷 @reikarei
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