Virtualの殺人鬼
KBANPS
第1話
「気をつけろ、この先は何が出るかわからない。」
そう俺が呟くとタンク役の青年が
「なんで俺らが、未開拓領域なんかに、、、」
と、愚痴をこぼす。
内心、まったくその通りだとは思いつつもリーダーを務めている俺が弱音を吐いてはいけないと、ぐっとこらえる。
俺たち四人のパーティーは、未開拓領域と呼ばれる危険地帯にクエストをするために訪れていた。
この領域は木々が生い茂っていることもあり視界が悪いことも要因の一つとなり、プレイヤーに恐れられている。
そう、今までは現実のように語ってきたがこれらはすべてゲームの話だ。
フルダイブ型VRMMORPG『Next Life Online』
通称NLO
このゲームを一言で言い表せばリアルだ。
というのも、このゲームはフルダイブでしか味わえない五感を使ったプレイができ、
ほかのVRゲームでは使われていない最新の物理エンジンやらAIソフトが組み込まれているからだ。
ただ個人的に一番リアルを感じたのが、デスペナルティだ。
デスペナルティがあるゲームなんていくらでもあると思うかもしれないが、このゲームのデスぺナはその重さが違う。
具体的には、
1.レベルが一段階減少
2.所持金1%の消失
これのひどいところはレベルが上がるにつれて必要経験値やコインが多くなるので、その重さが大きくなっていくところにある。
これだけ聞いただけでもこのゲームにおいて死がどれだけ重いか分かったと思うが、
実はさらにもう一つデスぺナがあり、それのせいでプレイヤーが死を恐れるようになった。
3.現実の痛みの10%を感じる
このゲームはゲームでは痛みを感じないという常識を打ち破ったのだ。
普通こんなにもひどい設定なら流行るとは到底思えないが、意外にもこのゲームのクオリティの高さにひかれる人は多く世界的に人気なゲームとなった。
そして俺たちはそんなゲームをプレイしているわけだが、もちろんデスぺナを食らうのは嫌なのですこし怖気づいているというわけだ。
しばらく歩いていると、斥候役の少女がハンドサインを出し俺らを停止させた。
「何かが近くにいる。」
そう彼女は言った。
彼女は斥候役であるため高いレベルの探知スキルを持っているため、その言葉には信憑性があった。
俺たち全員は戦闘態勢を取り何が出てきても大丈夫なように身構えた。
そしていくらかの静寂が続き、ふいにガサっという音が鳴りそれは姿を現した。
意外にも出てきたのは人間だった。
俺たちはモンスターか何かが出てくるものだとばかり思っていてので、全員肩をなでおろした。
ただそれがいけなかった。
このゲームのデスぺナの重さとPK報酬がないことから、それがPKであることにだれも気づけなかった。
一番最初にやられたのは先頭にいた斥候の少女。
驚く間もなく首がはねられ、死亡エフェクトが現れた。
そこで残り全員が異常に気付くが、時すでに遅しで背後に回られタンク役の青年も死亡した。
どうにか抵抗しようと魔法使いの少女が魔法を発動しようとするが、それより早くそれは懐に入り腹を切った。
残りは俺一人になり、どうすることもできないとわかりながらも、剣を引き抜きそれの首めがけて振りぬいた。
しかしその剣はあっけなくいなされ、返す刃で袈裟切りにされた。
痛みで意識がもうろうとする中、気味の悪い笑い声が聞こえた。
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