第25話 衝動

痛いほどの殺気を感じる。


僕は、双剣を抜く。


左は順手、右手は逆手に持つ。


左右から何かが襲い掛かってくる。


それがなにかすぐにわかった。


僕は、両方の牙に双剣を這わせて受け流す。


左からは、緑色の大きな蛇。


右からは、真っ黒な狼。


受け流しながら、狼の腹に回し蹴りを入れる。


「キャン!」


そのまま、振り抜いた足を着地のタイミングで狼に踵落としをする。


僕は、バックステップを挟む。


その瞬間、さっきまでいたところに赤黒い何かが振り下ろされた。


毛もくじゃらな腕だった。


視線を上げる。


そこには、赤黒いクマがいた。


でかい、3m近くあるぞ。


鑑定眼鏡スペクタクルが、敵の情報を炙り出した。


蛇は、『エメラルドメイプルバイパー』。


狼は、『ブラックレクイレッドウルフ』。


熊は、『ブラディーブロッサムベア』。


あー、分かった。


これ、初心者が相手にする奴じゃないわ。


碧楓蛇、黒要狼、血桜熊・・・漢字にすると知り合いの名前が2人も出てくるんだけど。


血桜熊ブラディーブロッサムベアのスタンプに黒要狼ブラックレクイレッドウルフが、巻き込まれていた。


フレンドリーファイアありみたいだな。


血桜熊ブラディーブロッサムベアの脇から碧楓蛇エメラルドメイプルバイパーが飛び出してくる。


僕は、左の剣で牙を止め、右の剣で口先を切り裂く。


「だぁ、めんどくせぇ」


左手を返して、逆手に持ち直し牙を力いっぱい弾く。


「パキッ」と音が鳴る。


どうやら、牙が少し折れた様だ。


血桜熊ブラディーブロッサムベアが、振りかぶっていた。


僕は、そのまま前に進み両双剣で左の脇腹を切り裂く。


そして、背後まで抜けると背中を蹴って宙に浮き乱舞を入れる。


血桜熊ブラディーブロッサムベアは、そこまで早くない。


何とか対処できそうだ。


黒要狼ブラックレクイレッドウルフは、さきほどのダメージがあるようで動けずにいるようだ。


僕は、一度鞘に戻す。


そして、抜刀の構えを取る。


死角から、碧楓蛇エメラルドメイプルバイパーが嚙みつこうとしていた。


僕は、牙に抜刀を叩きこむ。


「ペキッ」と音が鳴った。


よし、碧楓蛇エメラルドメイプルバイパーの牙が折れた。


そして、もう一本の剣を逆手で抜いて碧楓蛇エメラルドメイプルバイパーを切り裂いた。


(エメラルドメイプルバイパーの討伐に成功しました。

EXクエスト 『碧楓蛇エメラルドメイプルバイパー』をクリアしました。)


あと2体。辛い。

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