配信切り忘れてカメラにアップでブボッっとしたVTuberの私、バズって大人気魔喪女系アイドルになってしまう。お願い、もうこれ以上バズらせないで!
みなもと十華@書籍化決定
第1話 史上最爆の放送事故
「はーい、いつも観てくれてありがとぉ! はぐれゲー
マー系VTuberの
パソコンの画面に向かって変なテンションで喋る私は新人VTuberである。
そもそも全ての原因は、新卒で入った会社が超絶ブラックだったのが悪いのだ。クソ上司のパワハラと陽キャ同僚女子のイジメという
しかし、時と世間は無情で失業保険の残り日数も少なくなると、私は次の仕事を見つける必要に迫られることになる。
『働きたくないでござーる!』と
パソコンの画面にはケダモノレジェンズという
「よーし、行くよぉ! おっと、それっ!」
画面の中の私(清楚系で
:がんばれー
:キター!
:声かわいい
たまに厳しいコメントも流れる。
:そこの武器拾えよ!
:声は可愛いけどゲーム下手だよね
:草
くそっ! 私の専門は乙女ゲーなんだから
始めてはみたものの、人気が出るのは極一部の
しかも、最近のトレンドはダンジョンゲーに移りつつあり、実は乙女ゲーが好きな私には全く専門外だったりする。
事務所にも所属しておらずフリーの私は、なおさら人気とは程遠い所にいるようなのだ。現実もバーチャルも世知辛いものである。
「みんなー! 今日もありがとー」
:ありがとー
:またねー
:次からは腕上げろよ
:ばいばーい
実況を終えた私は配信を切る。
「ん? フリーズした? あっ、OKか」
「んぁーっ! 疲れた。ふうっ」
画面の中では清楚系細身美少女だが、現実の私はムッチリ系である。いや、敢えて巨乳系と言わせてもらおう。これでも標準体重だから。たぶん。
素材は悪くないと思うのだが、そこはかとなく漂う喪女オーラと、適当にサイドで結んだ長い黒髪とで非モテ感満載なのだ。
「お腹空いたぁ。何かオカズあったかな?」
使い込んで伸び伸びの部屋着Tシャツに、下はパンツ一丁のラフな格好で立ち上がる。
「今晩のオカズと今夜のオカズも用意してぇ~なんちゃって」
ちょっと肉付きが良い尻を机側に向けた時、ちょっとだけ、いや、かなり大きめな下品な音が出た。
ブボッ!
「おっと、デカいのが出ちまったぜぇ。くっさぁ! 全国の男子諸君、女子はオナラしないと思ったら大間違いだぜ。人前では絶対しないけど、部屋ではブーブーしまくりよぉ。
自分でもくだらないと思うのだが、独り言をつぶやきながら冷蔵庫を漁りに行く。
冷蔵庫の中から食べかけのロールケーキと牛乳を持って机のところに戻ってから、何故か配信機材のランプが付いているのに気付いた。
「あれ……これって……」
恐る恐る配信画面を開いてみる。
:放送事故?
:配信切り忘れてるよー
:おいおい、顔出ちゃってるぞ
:個人情報漏れまくり
:保存しました
:デブ
:デブじゃねーだろ。十分イケる!
:むしろムチムチしていて好き!
:でも、何か陰キャっぽいな
私はやってしまった。とんでもない放送事故を。
:ブボォ!
:ブッ!
:おい、屁しただろ!
:草
:草草の草、くっさー!
:おい! 男の夢を壊すな!
:ぜってー許さねえ! 絶対にだ!
:魔喪女ブー
:女終わってんぞ
「ああっ、ああああ! いっやぁあああああああああああああああああああああああああああ!」
その日、私の清楚系JK人気VTuberへの夢は打ち砕かれ、代わりに大人気放屁系喪女配信者として飛躍することになるのだった。
――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます。
この物語は、素材は良いのに喪女感が抜けない女主人公が、放送事故を切っ掛けに大人気VTuber兼経済評論家として成り上がるお話です。
ちょっとオタクで喪女っぽいけど、実は賢く可愛いヒロインの活躍にご期待ください。
もし少しでも面白そうとか期待できそうと思ったら、よろしければフォローや★やイイネを頂ければモチベアップになって嬉しいです。コメントもお気軽にどうぞ。
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