虫が住む
虫はいつも、どこでも、そこにいたんだ。飛んで、這って。
それでも私の脳味噌に巣食う事が無かったのは、その虫を忌避する青さを持っていたから。
今の、カサカサの、茶色い私の脳味噌は、温くて、食べやすくて、生きやすいのだろうな。
私とは違って。
いつの日か、私が枯れて、残る時、ただの死体に見えるかもしれないけれど、
乾いた皮膚を割って、中身を胡桃のように覗いたら、きっと虫に食われた中身のない私がそこにあるんだ。
でも本当は虫はそこに居るだけ。
なにも食べたりしない。
ただ、最初から中身なんて無かっただけなんだ。
閉じ込められてただけなんだ。
詩または文章集 薄星 @marou410
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