教会に来た弟
ども、ルークだ
今、俺、兄上のアッシュと兄上の専属メイドが教会にいる。
そして、この教会の中は美しく、
誰もが心が奪われるくらい神聖で、
とてもしず――
「わ゛ぁ゛待゛って”おにい「神゛父゛い゛や゛だ゛あ゛「あれ?ケヴィンじゃねぇか!「嫁あれがこうなんで――「ガヤガヤゴチャゴチャ」」
…………………………。
少々、賑やかな教会だ。
あと、美しい部分はナシにしてくれ。
この教会、ちょっとボロい。
「下民がワラワラと……鬱陶しい場所だ……。」
「まぁ、そう言うな兄上よ。守るべき領民だぞ?」
「貴様がこの中で一番鬱陶しいんだがな……。ふん、この下民共を守ってなんになるというのだ。」
「そう言っても俺らは貴族なんだから、兄上の言う下民達を守るのが仕事だぞ?」
そう言った瞬間、教会内の人達が全員静かになった。
「「「「……………………。」」」」
まぁ、人の多いこの場所で貴族だって言ったらそうなるか。
「貴様ら、なにをみ「待ってお兄ちゃーうわぁ
」ぐっ!?」
あー…見事に兄上をぶっ飛ばしたな。
これはちょっとヤバいぞ。
「……つぅ……おい!セッテ!外にいる騎士共を呼べ!そこな下民共の首を刎ねよ!!!」
「ま、待って下せぇ!どうか、子共達はまだ6歳と8歳になったばかりです!どうか!子供達の無礼を許してくだせぇ!!」
ぶつかってきた娘の父親が人混みから出てきて、俺らの前に土下座してきた。
「ならば、父子共々首を「まぁまぁまぁ、落ち着け兄上よ」」
兄上の血が頭に登ってるし、説得なんて無駄だ。
なら、怒りの矛先は自分に向かせるかしかないな。
「なにをする無能!邪魔するな!」
「落ち着け、兄上よ。それと、お前たちも立て、そしてこの場から早急に去れ。」
兄上とぶつかった娘を立たせて、背中から手で押して、父親の方まで行かせた。
「あ、ありがとうございます!!」
「礼はいいから。それに、こんな人の多い場所に子供を走らせたのはお前の責任だぞ。娘への教育不足だ。」
「す、すいやせん....」
「さっさと行け。」
父親が娘と兄の男の子を抱え、急いでこの場から去っていた。
……娘……ずっと俺を見ていたな。
……さて、どう収拾をつけようか。
「貴様……俺を邪魔してただで済むと思っているのか?下民に手を貸すなど……」
「あのな、兄上よ。俺は一応、兄上を助けたつもりだぞ?それとも俺に手を貸されたかったのか?」
「無能の貴様の助けなど要らんわ!」
「はぁ、兄上よ。周りを見てみよ。ここはセナフの教会だ。ここに血なんて流したら、我がアストラ家が教会に睨まれるぞ?」
俺の言葉を聞いて、兄上はこの場所を見回した。
「…………チッ」
「分かって頂いてなによりだ。」
「もういい!」
「さて、お前達も適性検査が終わったなら早く帰れ。教会は広くないんだ。」
そう言われて、大人の何人かが急いで出て行った。
まったく。
「なぁ、兄上よ。お前はそれでいいのか?」
「…………何が言いたい?」
「兄上は俺のこと嫌っているのは分かったが、そうやって周り威圧して、貴族の権力を振りかざして、兄上は何がしたいんだ?」
「貴様には関係ないであろう!」
「ああ、関係ないな。だがな、それで誰が兄上を理解する?確かに俺らは貴族で、腹に物を抱えて相手の腹を見なきゃならない生き物だ。」
「………………。」
「だが、そんな生き方だけをしたら最終的に上っ面の人間関係が残るだけだ。それは……孤独だ。」
「……っ!貴様に何が分かる!?そもそも関係ないと言いながら何故首を突っ込む!?」
「兄弟だからだ。」
「……っ!貴様!!!」
「坊ちゃま方、ここでは人目がございます。」
「…………チッ!」
「…………………………。」
メイドの言葉を聞いて、兄上は舌打ちだけして、この場から逃げるように適性検査をする神父の所に走り去った
「…………すまないな、セッテだったか?俺も頭に血が登っていたらしい。」
「いえ…もしかしたら、アッシュ坊ちゃまにそういう言葉を言ってくれる御方が必要だったかもしれません。我々では言えない言葉ですから。」
「どうだろうな。」
別にアッシュを更生させたいわけじゃない。
そして、俺も人に構うほど、人の心がわからない。
ただ…………
いや……いい。
俺はただ生き延びたいだけ。それだけだ。
あと、メイド。
喋れたんだな。
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