第47話

「ねえ、このあとまだ時間ある?」

「このあと……?」


 ファミレスでひとしきり話したあと、理世が俺にそう問いかけてくる。

 確かにまだ店もやっている時間と言えばそうだし、今日は週末だ。


「特に予定はないけど」


 そう答えるが、とはいえこの時間からどこに行くのかと思ったら……。


「うち、こない?」

「え……」

「あーその……別に変な意味じゃないというか、いや……んー……もうちょっと、アキくんと一緒にいたいんだけど、ダメかな?」


 断りようのない誘い文句だった。


「いいけど、いいのか……?」

「もちろん! こう見えて私、いつでも部屋は綺麗にしてるんだよ?」


 そういう問題なのかは一旦置いておくとして、ひとまず理世の提案を否定する材料はない……よな?

 もう別に、家に誘われた意味なんて考える関係性ではないだろう。

 相手はアイドルだが、今の理世はリヨンだ。ただの……というと語弊があるが、友達の家に行くことにためらう必要はないはずだ。


「じゃ、早速行こっか」

「ああ。買い物とかして行くか?」

「んーん。多分大体のものあるから大丈夫だよ!」

「なら……」


 そういえば理世が来たときは菓子折りとかあったけどこのまま行っていいのかと思っていると、表情を読んだように理世がこう言った。


「ふふ。気は使わないでね? 何回でも来て欲しいから」


 今回は少なくとも、そのお言葉に甘えることにしよう。

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