第11話
「わぁ! すごいすごい!」
「おお……」
次のエリアはちょっと、非日常な光景が広がっていた。
イグアナが放し飼いにされているし、ガラス越しに大きなトカゲがくつろいでいるのが見れたり、周囲にも可愛らしい生き物がケージに入れられていたり……。
「見てアキくん! フクロウ!」
「これも放し飼いみたいな感じなのか」
一応パーチと呼ばれる足場と紐で繋がってはいるが、特にケージやガラスといった仕切りもなく触れ合えるようになっていた。
触ってもいいとのことだったので撫でさせてもらったんだが……。
「え……こんな指はいるんだ……」
「ほんとだ! ふわっふわ!」
見た目より細いというか、頭を撫でようと指を当てたら頭に指が沈み込んでいくのだ。
これはちょっと、驚いたし、触り心地もふわふわで気持ちいい。
「お……やっぱりアキくんのなでなでは人気なのかな」
見て見るとフクロウも目を細めながら手の方に頭を押し付けて来ていた。
よく慣れていてかわいい子だ。
「他にも結構色々いるんだよな」
「うん! ハリネズミとかも可愛いー」
ハリネズミは上からあまり逃げないらしく、木の枠で囲まれた空間にいて上から覗けるようになっている。
触るのは個体によっては嫌がるようで、たまに針を逆立てて体当たりしてくるらしいので皮手袋が用意されていた。
「ハリネズミっておっとりしたイメージだったけど攻撃もするのか」
「攻撃というより、防御の延長……みたいだけど」
怪我をしたらゲームに支障が出る、といういかにもな理由で皮手袋を装備して撫でる。
幸い撫でた子はそんなに嫌がる素振りもなく、皮手袋にフンフン鼻を押し付けて匂いを嗅ぎに来たり、友好的だった。
「アキくん、あっちはいいの?」
リヨンが言う。
指さす先にいるのは大きなトカゲの入った部屋。
窓が付いていて中が見られるようになっていて、パッと見ただけでも数匹、大きなトカゲが見えている。
「リヨンはああいうの大丈夫なのか?」
「え? いいと思う」
ならよかった。
なんとなく爬虫類まで行くと抵抗がある人が多い気がしていたから遠慮していたが、一メートルを超えるようなトカゲだ。ワクワクせざるを得ない。
ガラスに近寄っていくと……。
「おお……」
近づくと思ったより大きい。
これもう、恐竜とかそういう世界なんじゃないかと思ってしまう。
多分尻尾の先まで入れたらリヨンとそう変わらないサイズ感だ。
「すごい……」
「ふふ。好きなんだ? アキくん」
「これはテンション上がる」
そんなに動きはないが、優雅にくつろいでいるだけで迫力がある。
かと思えば木をゆったり登りにいったり、地面をのっしのっしと歩いている様子を見せてくれたりと、いつまでも見ていられるようだった。
「なんかわかる。でもアキくんの動きが気になっちゃう」
「動いてたか? 俺」
「うん。トカゲの動きに合わせて首が動くし表情も変わって可愛いかも」
「可愛い……」
「ああごめん、悪い意味じゃなくね」
引っかかったのはそこじゃないんだが……幸いリヨンに気づかれなかったならよかった。
このまま誤魔化そう。
「そんなに動いてたか?」
「え? うん。なんかひょこひょこしてた」
「やっぱり馬鹿にしてないか?」
「違うってばー!」
そんなやり取りをしながら、その後も珍しい生き物との触れ合いをお互い楽しんだのだった。
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