【書籍化】都合のいい地雷系彼女とカラダだけの関係を〜ちょっとエッチで都合のいい地雷系美少女と仲良くなっていく話〜

すかいふぁーむ

プロローグ




 どうしてこんなことになったのかと必死に頭を働かせようとするが、ラブホテルこんな場所でこんな状況で働くほど俺の頭は優秀じゃなかった。

 ただそれでも……。

「り、リヨン! やっぱりこういうのはダメだと思うんだ!」

「ふーん? ここまで来てそんなこと言うんだ?」

 別に嫌そうな顔をするわけでもなく余裕のある笑みを浮かべる。

 ベッドの淵に腰かけていた俺を見下ろすリヨンは、下着姿だ。

 会ったときから細いなと思っていたが、服がなくなるとさらにそれが際立つ。だというのにしっかり女性らしい膨らみはその存在を主張してきていた。

そのアンバランスに頭がクラクラさせられる。

 黒の目立つ服がリヨンさんの特徴を際立たせていたが、脱いでなおメイクと髪型のおかげでリヨンらしさがよくわかった。

 下着が白系統だったのが意外なくらいだ。

 しかもその手はもうブラのホックにかかっており、あと少ししたら……いやだめだだめだ!

 理性を取り戻せ藤本彰人ふじもとあきと

「でもどうして? 脱いだのを見てガッカリしちゃった?」

「そんなことはない! 決して! リヨンはめちゃくちゃ綺麗だ!」

「──っ! そ、そう……」

 そう。そんなことは決してないんだ。

 問題は……。

「俺たちまだ初対面なのに、いきなりそういうことは……」

「ふふ。真面目なんだ?」

 後ろ手に回していたその手をほどいてこちらに近づいて来る。

 下着は付けているとはいえその状態で動かれるとこう……見えそうで……。

「いいよ。私も無理にシたいわけじゃないから」

 リヨンがそう言いながら俺の隣に腰かけて来てもたれかかってくる。

「――!?」

「でもちょっとショックだなぁ? そんなに魅力なかった? 私」

「いやいや?! そういうわけでは決してなく……」

「あはは。ごめんごめん。ちょっとからかっただけだって。それにさ、アキくん」

 リヨンが俺のハンドルネームを呼びながらこちらを見つめてくる。

「確かに私、アキくんの本名すら知らないんだもん」

「そうそう、それ! それなんだよ!」

 俺たちはたまたまやっていたゲームが一緒で、SNSで意気投合して、そして今日なんだ。

 会ったのは初めて。顔も名前も知らなかった。

「じゃあ今日から少しずつ、教えてくれるのかな?」

「それは……」

「私は本名知ってる相手にも、ここまで見せたことなかったけどなぁ?」

 ニヤニヤしながらブラに、今度は前から手をかけて見せつけようとしてくるリヨンに思わず目を反らす。

「ふふ。そのへんもゆっくり、だね」

 俺の態度を見て諦めたのか、ようやく手を下に下ろしてくれた。

 それでもこんな場所でこんな格好で、ベッドの上に隣同士なのは変わらないんだが……。

「せっかく来たんだし、ゲームしようよ」

 急にリヨンがそんなことを言い出す。

 さっきまでの妖艶な雰囲気は一度引っ込めてくれたようだ。

「ここ、ゲームできるの?」

「そういう口実でここに来たでしょ?」

 そういえばそうだった気もするし、でももうそんなことを思い出す余裕はない。

 確かにレンタル品のゲームはもう机に並んでいた。

 俺たちが出会うきっかけになったFPSゲームも、一応出来るらしい。

「あの……」

「んー?」

「せめて服、着ない?」

 いそいそゲームの準備を始めたリヨンに言ってみるが……。

「んー、ダメ。今日はこの格好で一緒にいる」

「なんでまた……」

「断られちゃったの、悔しいから」

「えぇ……」

「その気になったら襲ってくれていいからね?」

 ニヤッと笑いながらゲームを起動するリヨン。

 結局その後やったゲームはどれも下着姿のままのリヨンに目がいって集中できず、散々な目に遭ったのだった。

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