第29話

「キリア、考えが漏れるの、どうにかしないとね?」

「…? あっ!まだっ…ダメっ…!」

「はぁ…キリアの中、すっごい気持ちいいね」


 あたしの腰を動かしながら胸の頂を舌で転がし、反対も指で摘まれる…


「んぁっ!あっダメっ!あんっ…!あぁっ!」


 ビクン!と背中が反る。簡単に絶頂を迎えるあたしは、ランドさんにされるがまま、快感を迎え入れていた。


 好きな人にされるのって、こんなに幸せを感じるんだ…


「痙攣しながら、そんなこと考えるの?嬉しいけど、タガが外れそうだよ」

「我慢してるんです?しなくても良いのに…」

「…後悔、しないでね?」

「?…しないです。ランドさんなんで」


 そこからはあまり覚えてない…前からも後ろからも突かれて、何回も絶頂を迎え、何も考えられなくなったから…

 ただ、イク度、何か飲まされてたと思う。ランドさんも飲んでたような…?後で…聞いて…みよう…。


「すー…、すー…」

「あぁ…無理させちゃった…」


 最後に絶頂を迎えた時、気を失ったキリアを見て、そう思った。けど、今まで生きてきて、充実した夜だったと言い切れる。

 

 俺が中に出す度、うっとりする顔を見ると何度でも…と思う。ただ、まだ婚姻もしてない、ただの恋人だ。婚姻してもしばらくは、2人の時間が欲しい…

 

パルマに行ったらすぐ、婚姻できるよう、準備を、進めよう。その前にここのギルドだな…。


 2人にクリーンをかけ、キリアが風邪をひかないようにシーツをかけ、抱き寄せ、頬にキスをする。

 俺も寝よう。明日も忙しい…はずだ。



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 お、おはようございます…。ただいま、お昼ちょっと前… 寝坊した…。でも、身体が動かない…

 ダルい。腰が抜けてる…?歩けないかな?まだベッドから降りてないから、歩けるかわからないけど。身体中、ちょっと筋肉痛っぽい。

 やだ…恥ずかしっ。あ、ベッド脇のサイドテーブルにメモと、ご飯が置いてあった。えっと、なになに?


 〝僕はギルドに行ってくるから、キリアはゆっくり休んでてね?身体、キツいだろうし。部屋から出ない様にね。お昼すぎには帰るよ〟

 

 そう言えばギルドに行くって言ってたな。確かに、身体はキツい。部屋から出たらダメなんだ…、まぁ出ないけど。 1人で出て、この町の人に絡まれるのは嫌だ…。ヴァイスも居ないのに。

 1人、もぐもぐとご飯を食べ、睡魔が来たのでもう一眠りすることにした。…おやすみ…


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 ギルドにて


「ランドじゃねぇか」

 

 酒場から声をかけられて、視線を向けると酒場の親父だった。


「あぁ。久しぶりですね」

「…なんだ?不機嫌だな?」

「そりゃ不機嫌にもなりますよね?僕達の邪魔をされたら。この間、白い犬を連れた冒険者が来ましたね?」

「あ、あぁ。その子がどうした?」

「あの子の依頼、僕が依頼主なんですよ」

「……あー」


 冒険者がこの町に少ないのはギルドのせいだ。不正やら横領やらやり過ぎだったのだ。この町の冒険者ギルドは信用するに値しない。


「俺が最初に言ったんだ。依頼、受けてくれって」

「示し合わせた訳じゃ無さそうですけど。ただ、受けませんよ?こんな町じゃぁね。ギルマスも不在なのをいつまでも隠してる様じゃ、信用なんて出来ませんから」


 そうなのだ。この町はギルマス不在なのを、いつまでたっても公表していない。

 既に半年ほど不在なのだが…


「⁉︎ 不在だと!」

「えぇ。確かですよ?一応、商人なので、情報は確かな所から仕入れてます」

「そ、そうか…」

「親父さんも、ダンジョンシティに来ます?僕たちもそこを拠点にする予定なんです」

「そうか…こんな所に居ても仕方ないか…。よし、なるべく早くここを出るよ。ありがとよ」

「いえ。出るときは気を付けて下さいね」


 親父さんとの会話を切り上げる。親父さんは巻き込まれて、ここに居ただけだろうし。


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