涙夢(なだゆめ)

-N-

涙夢(なだゆめ)


 思い出の中にしまいこんでた 青緑の涙をふく

 あれだけ好いたあの日々も 期待にあふれてた夏の歌も

 今となってはおぼろげで ただ長い君の髪が揺れる

 世界が灰色になってもなお覚えてる ただふわり

 君の髪が揺れる


 荒川の先 入道雲の下 東京へ流れる電車の中で

 叫びたくなる君の名をしまった

 夏の鮮やかな夢に


 しまったものは何時の間に しわがれたものになっていて

 好きもやがては日常に まどろみ消えてしまうので

 忘れぬように歌うのさ ただ綺麗君の瞳がゆれる

 世界が無音になってもまだ歌えてる ただゆらり

 君の瞳が揺れる


 新宿の前 雑踏との中に 家へと帰る人々の群れに

 飛び込みたくなる君の名をにぎった

 夏の危なげな夢に


 夏にかすむ かすむ かすむ君は消えゆく

 僕は忘る 忘る 僕は忘れ去られてく


 ああ


 荒川の先 入道雲の下 東京へ流れる電車の中で

 叫びたくなる君の名をしまった

 夏の鮮やかな夢に


 新宿の前 雑踏との中に 家へと帰る人々の群れに

 飛び込みたくなる君の名をにぎった

 夏の危なげな夢に


 もう一度だ 夏を呼び起こす

 涙夢 愛を語りにいこう

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