31 両手持ち用の杖は薬品の覇者と戦う 後編
― 残り四時間半 ―
「ほっ!」
私が放った『自爆杖』の上にマーダが乗る。
そしてその『自爆杖』を操作してラーダさんに飛ばす。
「【
ラーダさんがそう唱えると『自爆杖』は落ちるが……
「【
とすぐ唱えて浮かばせる。
さぁて、言い合い合戦第二ラウンドだぜぇ。
一応投げてはいるから落下速度は相当速いんだけど、やっぱ途中途中で止まらされるせいか速度落ちちゃってはいるなぁー。
そしてある程度近づいた所でマーダは降りた。
「え!?」
ふっふっふ……乗ったまま斬りつけてあわよくば『自爆杖』で倒せれば良いと考えたと思ったろ?
実際はただ『自爆杖』をぶつけるだけ、マーダは言わば囮。
『自爆杖』がラーダさんに直撃する。
「ぐあっ!」
やれた……か?
「ゴホッ、ゴホッ!」
流石にやれてないか。
まあそうだよな、DP:2800だしな。
今のでやられてたらさっきのマーダの一撃でやられてるはずだもんな。
「はぁ!」
そして降りたマーダが斬りつける。
だがもちろん弾かれる。
「くっ!」
やっぱこのDPどうにかしないとなぁー。
……そういやさ、あのDPって一応(上限突破中)なんだよね?
つまりさ、いつかその効果が切れたり……いや、普通に薬でドーピングしてる可能性があるか。
やっぱどうにかしないとダメだわ。
「少ーし困ってるようね?」
背後から声がした。
「だっ、誰だお前は!?」
マーダめっちゃ驚いてんな……あれ? それ以上にラーダさん驚いてね?
「私よ」
そこには――
「どうも、ラーダさん」
ルーファさんがいた。
「ルーファさん!」
「来ちゃったわ」
来ちゃったて。
そんな簡単に来れる場所じゃなかろうに。
「私には【
わお、私が今疑問に思ったところに的確な答え……
心読める魔法身に付けたんですかい?
「だっ、誰よ貴方!?」
うんまあ確かに急に知らん人が来たらビビるよな。
「……まあ良いわ、人数が一人増えても計画はちゃんと遂行出来るわ」
「……メルアちゃん、計画って……?」
あっ、ルーファさんまだ知らないんだったっけ?
「えーと計画っていうのは――」
そう教えようとするとラーダさんの薬品が飛んでくる。
だがその薬品をルーファさんがノールックで弾く。
「危ないわねー、今話してる最中よ?」
ルーファさんすっげ……。
早口でラーダさんが町を支配しようとしている事を告げる。
「分かったわ……あの爆発も彼女の仕業?」
「多分そうです」
そう言い終わった頃には次の薬品が飛んできていた……が、ルーファさんの
ルーファさんはそのままラーダさんに近づいて鞭でビタンビタンし始めた。
「なあメルア」
「何?」
「私達……いるか?」
「いらないね」
はっはっはー……いや本当に私達いらなくね?
もうルーファさんが全部やっちゃっいそうなんだけど?
そう思った瞬間……
「なっ!?」
ルーファさんが……こちら側に飛ばされた。
……マジで?
ルーファさんってDP:4755とかだったよね?
なのに飛ばされた?
「ふぅー……何とかなったわ……」
服を払いながら少し距離を離すラーダさん。
どうやったんだよ!?
「実は私、こう言うのもなんだけれど、ドーピングしているのよ」
うん、知ってる。
でもルーファさんを飛ばせるほどじゃないじゃん。
「……」
…………あれ? もしかしてそれだけしかしてない?
ん〜? ならどゆことだ?
……はっ! まさか!?
ルーファさんの方を急いで向く。
するとルーファさんはラーダさんにバレない様にウィンクをした。
おいおいマジで?
ルーファさん〝わざと〟後ろに飛ばされたんだ。
でも一体何のために……?
相手を油断させる為? いや、ルーファさんは普通にボコれるからやる必要はない。
うぅーん何なんだぁー?
「メルア……ちゃん……」
うおっ!? いきなり
「ごめんねー……メルアちゃん……私じゃ倒せないかも……」
嘘だ、絶対嘘だ。
だってルーファさんAP:6588だぞ?
余裕で倒せる。
そしてルーファさんが小声で
「ラーダさんの防御力は下げておいたわ。だから後は頑張ってちょうだいね」
と言ってきた。
…………えぇぇぇぇぇぇ、めんど。
「何でですか!」
そう小声で言う。
「大丈夫よ、貴方なら倒せるって思ってるから」
それで死んだらどーするんだ!
「やはり何も変わらなかったわね、さっさと貴方達も倒してしまいましょ」
そう言ってラーダさんは薬品を構える。
あーもうやるっきゃない!
DPが下がったって言ってたし攻撃が通る様にはなったんだろう。
でもラーダさんを倒すにはどうにか裏をつかないと厳しそうだ。
しかも一回やったら絶対対策されるから最初で決めなきゃいけない。
うーん……でもそんなパッて思い付かんなぁ……。
「メルア」
「ん? 何?」
「私に考えが……」
ほぉ! マーダからアイデアが来るとは!
そして試しに聞く。
…………え行けんのそれ?
「やってみるしかないだろう」
「まあねぇー」
アイデアがそれしかない今じゃそれをやるしかないんだよなぁー。
「ふっ!」
ラーダさんが薬品を投げてくる。
その薬品に『自爆杖』を投げる。
「【
「【
しかし『自爆杖』はそのまま飛んで行き、薬品を爆破した。
「な、何故!?」
やってくれると思ってたぜ!
「なんででしょうね!」
タネを言うわけにはいかない。
言ったらそれが通用しない攻撃とかやられそうだし!
ラーダさんはまた薬品を投げてきたが、それも『自爆杖』で爆発させる。
もちろんラーダさんは【
「なんで止まらないの!」
実はこれ結構簡単な事をしてるだけなんだよね。
それは……
いやいやガチで。
一応ね、私APが1250あるんですわ。
だからぶん投げるだけでもかなりのスピードにはなる。
【
でもね……実はこれには欠点があるんですわ……。
「……メルア?」
「何?」
「地味に薬品に当たってなくないか?」
そう! 私の絶望的すぎる運動センスだ!
前世と同じ反射神経のように、運動センスも前世と同じ!
そして私はボールを投げると何故か真っ直ぐ飛ばず、左右どちらかに行くか下に行くかなのだ!
薬品を爆破できているのは単純に『自爆杖』の爆発でだ。
直で当てられる訳がない。
だからそれを今まで【
どうにかして当てないと!
でもまずは普通に投げとこ。
「どこに投げてるんだ!」
左に曲がっちった。
うーむ、やっぱどーにかせんと。
薬品が飛んできているが『自爆杖』で爆発させる。
やっぱ直では当たらない。
「メルア」
「何だ!? 当てる方法を思いついたのか!」
「投げてくんね?」
「……は?」
さぁー続いての選手はマーダ選手です!
杖を構えて……投げたぁぁぁぁ!!
そして普通に避けられたぁぁー!
……マーダ駄目かぁー。
「な、何だその目は! お前もできてなかったろ!」
まあそれはそうなんだけどね。
「マーダ、もう少し早く投げれると思っていたのだけれど……」
ほら! ラーダさんもそう言ってるで!
……困った。
ルーファさんは戦闘にこれ以上参加はせず、ラーダが投げた『自爆杖』は遅すぎて避けられ、私に至っては論外。
……なあ、また詰んでないか?
ぬぁー! 【
そしてその後、かなりの
アイデアはある。
だがそれをやる為には『自爆杖』を当てるのが必須。
そしてかなりの時間が経った――
いつしかお互いが座ってしまっていた。
疲労は【
因みに残りは後一時間だ。
はっはっはー、もうかれこれ四時間半くらい戦い続けてるな。
この世界のギネスとかに乗らねぇーかな?
ポンポンと『自爆杖』を投げる。
『ブォン!』
「!?」
今、なんか違う音がした!
投げた先を見ると……
「痛いわねぇ〜。でも、これくらいじゃ大した事ないわ」
当てた! この私が! 当てた!
ようやく当たったのか……。
「んじゃあマーダあとは……ね?」
「分かっている」
そして……
「【
マーダの魔法が発動する。
この魔法、名前通り熱を移動させられるだけの能力なのだが、その熱を一点に集めると……
「し、心臓が熱い! 貴方達! 何をしたの!」
そう、熱すぎてダメージを負う。
でも普通だったらそんなに熱くはならないだろう。
だがここで思い出して欲しい。『自爆杖』は爆発を起こす杖、つまりめちゃくちゃ熱いんだよね。
その熱を直に受けたんだからあっつあつに決まってる。
直で当てたので多少ダメージも喰らってるっぽいから、相当効いてると思う。
「貴方達! 何をしたのか答えなさい!」
とんでもない形相になってこちらを睨むラーダさん。
こっっわ! マジ怖い!
でももう何も出来なそうだな。
すると後ろの方から足音がした。
「よくやったわねメルアちゃんにマーダちゃん」
「あ! 目覚めたんですね!」
「? ずっと起きてたわよ?」
「え!?」
いやお前騙されてたんかい。
「サボってないで手伝って欲しかったです」
「ただ貴方を試したのよ。ルルドを倒したんだから……ね?」
試す……? 何のために試されたんだ……?
「彼女は私が
「あっ、待って頂けないでしょうか?」
「あら? 何でかしら? 師だから流すとかでは……無いわよね?」
ルーファさんルーファさん、圧凄いっすよ。
「私の住んでいる館はマスターがいない状態で24時間経つと崩壊してしまうんです!」
「……メルアちゃん、ほんとこれ?」
私に話振られたー!
「マジです」
即返せる私凄い。
「分かったわ、私の鞭でぐるぐる巻きにして一度館に連れてくわ。その後どうするかはそこで話し合いましょ」
「分かりました」
その後、『
その後、この世界で言うポリスメンが来て色々調査していった。
もちろんそのポリスメン達は私が通った道を通ってきた。
そんでまぁ、ラーダさんは色んな罪があるということなので、その崩壊させる魔法を消させて牢屋に連れてかれる事になった。
マーダ結構悲しんでたなぁ……今はそっとしておこう。
というかこれからどうしよ。
ま、今まで通りギルドミッションでも受けますか。
そう思いながら戦いの疲れを癒すために寝るのであった。
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