20 両手持ち用の杖は模擬戦をする
「……へぇ、貴方が見失うなんて珍しいじゃない」
「申し訳ありません!」
そう言って彼女はとんでもない速度で頭を下げた。
その人目の前にいるんですけどねぇー。
まあ気づくわけないか、姿形が違うし。
「でも、それなら貴方の目の前にいますよ」
「え?」
!? 気付かれた!? 何で!?
あっ、でも確かにさっき私の名前を呼んだ時に〝ちゃん付け〟していたな……。
「その……おじさんが?」
それを言わないでくれ!
悔しいけどこの人しかいなかったんだよ!
「そうよ、どうやら魔法で姿を変えているようね」
「すっ、凄い変身魔法……」
なんか照れる。
「じゃあ元の姿を見せて頂戴」
「あ……いや……その……」
「お前ぇ!マスターの命令を拒否するのか!」
ひぃ! やめてやめて! そんな睨まないでよ!
ラーダさんが左手を挙げて制止する。
「その……なんです?」
「この魔法自分じゃ解除出来ないんです……」
なんか凄い恥ずかしい。
「なぁんだそんな事だったの。解除してあげるわ」
え!? 解除出来んの!?
「【
その瞬間元の姿に戻った。
「うおぉ!?」
「では、貴方を部屋に案内します」
そう言ってラーダさんは立ち上がり、スタスタと歩き出す。
「マスター!」
ん? 何だ?
「……何です? マーダ」
「マスターは彼女を泊めるおつもりですか?」
「そうだけれども、何か?」
マーダは少し
「私は反対です! マスターは強者にのみ何かを与える人だと思っているからです! 彼女は自分で変身魔法も解けないような奴です! なので私は――」
マーダの話を遮り、ラーダさんは冷たい声で
「つまり、この子は弱いと?」
と言った。
……というかさ、本人目の前でそれ言う?
結構心にグサァァーッと来たよ?
めっちゃ痛いよ?
「…………」
マーダは無言のままだ。
「はぁ〜、分かりました。ではメルアさんと模擬戦をしてみなさい」
「!?」
ラーダさん!?
なんて事言ってるんですか!?
嫌ですよ私!
絶対めんどいじゃないすか!
「……分かりました」
「では十分後、ポーチの目の前の庭に集合しなさい」
そう言ってラーダさんはスタスタと奥の方へ歩いて行った。
…………マーダ貴様ぁ、面倒な事しやがってぇ……。
ま、やらなきゃいけないなら仕方ない。
椅子にもたれかかりダラーンとする。
因みにマーダは何処かへ行ってしまった。
そして十分が経過し、ラーダさんが庭に出て来たので私も外に出る。
ひゃ〜
「それでは、模擬戦を始めてもらうわ。制限時間は5分、相手を殺して貰っても構わないわ」
「!?」「!?」
は? え? 今なんて言った?
「マスター? 殺しても……良いと……仰いましたか……?」
「ええ、そう言いましたよ」
やべぇ! 思ったよりヤベェぞこれ!
「私が生き返らせるので」
…………絶対それ禁忌魔法の一つだろぉぉぉぉ!!
使ったら代償が酷すぎるやつだろ絶対!
マーダは、「なら大丈夫だ」という表情になった。
「戦いは、相手が戦闘不能状態になった場合即終了となるわ」
そう言ってラーダさんは少し離れた後
「始め!」
と叫んだ。
その瞬間、私は…………
【
「はぁ!?」
彼女にとっては私はただ浮いただけなのだが、やはりそんなに驚くものなのだろうか?
そしてそのまま『自爆杖』を打ちまくる。
そして【
これをすれば流石に倒せるだろう。
「舐めるなぁぁ!」
そう声が聞こえて爆発で煙が立ちまくっているところからマーダが来た。
おぉ!? これは予想外だった。
どうやって避けたんだ?
そして彼女は剣を私に振りかざし、私に当たった――――様に見えた。
「え!?」
後ろから『自爆杖』を打ちまくる。
「あっ、やば――」
マーダはそのまま落下し、気絶した。
さて、何をしたのか説明しよう。
まず【
そして【考える者】で彼女が来ているのが即分かったので下に移動する。
この際、『無限収納袋』から念の為もう一つ作っておいた私そっくりの人形を取り出す。
出している姿は【動く者】を発動しているので早すぎて見えない……筈だ。
そして私のそっくり人形を浮かせてそこから『自爆杖』を放つ。
その『自爆杖』で私がダメージを喰らわない様に先に【
マーダが人形に攻撃したのを確認してから『自爆杖』を放った。
まあ、これだけである。
「メルアちゃん、お見事よ。これでこの子も居ていいと思うでしょう」
「よっ、良かったです」
なんかごめんよマーダちゃん。
「ではついて来て頂戴、明日は少しやって欲しいことがあるの」
「分かりました」
ラーダさんはマーダを担ぐとスタスタと歩いた。
いやぁー、何とか倒せたけどまさか自爆杖の嵐を一度避けられるとは。
あれにはマジでビビったなぁ。
そう思いながらラーダさんについて行く。
「ここが貴方の部屋よ」
結構綺麗な部屋だ。
「ありがとうございます」
「ゆっくり休みなさい、じゃあまた明日」
そう言ってラーダさんは扉を閉めた。
ベットにダイブする。
疲れたぁぁぁぁぁぁぁ〜。
戦いってほんと疲れるわ。
その疲れのせいか眠気凄いし。
そしてそのまま大爆睡をきめるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます