2 両手持ち用の杖は魔法を覚える

 受付嬢の元へ行き


「すみません、冒険者になりたくて来たのですが」


 と言う。


 一度言ってみたかったんだよなぁ〜、これ。


「かしこまりました、ではこちらの水晶に手をかざしてください、天職を調べます」

「はぁーい」


 あれ? 普通こういうのってステータスとかを見るものじゃないの?


 ……まあいいか。


 そしてスッと手を翳す。


「貴方の天職は…………『魔法使い』の様です」

「魔法使い……ですか……」


 魔法使いねぇ〜、なんか良い魔法とかあると良いけど。


「はい、この冒険者ギルドを出ていただいた後、左に行き、そして真っ直ぐ進んで頂き、2回目の右に曲がる道を曲がって貰いまして、その道の奥へ進み、突き当たりを左に、そして右に、最後に左に2回曲がってもらいますとその通路の奥に武器屋がございますので、そちらに行って魔法の杖をご購入して下さいませ。ご購入して頂いたらこちら戻って来て頂き、ギルドカードを発行させて頂きます」


 え? 何? ここを出たら左に行って2個目の右に曲がる通路に行って、突き当たりを左に行って左に2回曲がって、その道の奥に武器屋があるの?


 長っが!! もう地図作れよ。


「分かりました、行って来ます」


 暗記できたから怪しいけどな!


「お気をつけくださいませ」


 まあ辛うじて暗記はできているんだけどね……。


 よし、さっき言われた通りに行きますか。


 そして言われた道を進むと確かに武器屋があった。


 少しボロい感じだがしっかり武器屋だ。


 ……入りますかー。


 ガチャりとドアを開ける。


 中は外からは想像がつかないほど綺麗だった。


 そして奥の方に魔法の杖がズラーッと並んでいた。


 うっわぁ〜めっちゃあんじゃん。選びがいがありそぉ〜。


 そして魔法の杖が売られている所まで行き、見てみる。


 魔法の杖は大きいのから小さいのまであり、形も様々だ。


 よし! 大きいのにするか!


 持ってるの両手持ち用の杖だし!


 タグを見ると『魔法の杖(両手持ち用)』と書かれていた。


 よし! ビンゴ!


 持っていた両手持ち用の杖を置き、一つ持ってみる。


 …………ん? これも結構軽いぞ?


 てか発泡スチロールかってくらい軽いよ?


 しかも両手で持たなくてはいけないほど大きい訳でもないし……


 ……これ、両手持ちじゃなくて片手持ち行けるんじゃね?


 ということで置いておいた方も持ってみる。


「……持てた」


 持ててしまった。


 え!? まじ!? やばくねこれ!!


 こんなん最強やんけ!


 あぁーでもお金ないや。


 一応服のポケットとかに手を突っ込んでみるがない。


 後はこの……ボロっちい袋か。


 まあ、見てみるか。


 しかし袋の中にはとんでもないものが入っていた。


 中には大量の金貨が入っていたのだ。


 やぁ〜ば! もう私大金持ちじゃん!


 しかも金貨が入っているこのボロっちい袋……いや、この素晴らしい袋は多分無限収納袋だ。


 ……絶対この先の旅のお供じゃん、役に立つこと間違いなしじゃん、なんでこんなのがあるん?


 まあこの話は取り敢えず置いといてお店の人を呼ぶ。


 そして……


「ここからここまで全部買います」


 と両手持ち用の杖の棚を端から端まで指さす。


 言えたぁ〜!!


 まぁ〜じでこのセリフは言ってみたかったんだよなぁ〜!!


 多分少しニマニマしていたと思う。


 お店の人は驚いていたが、すぐに


「かしこまりました、少々お待ちください」


 と言ってレジに行き、紙をペラペラとめくり始めた。


 多分商品表だろう。


 その間両手持ち用の杖を見ることにした。 


 そして数分が経ち


「お待たせ致しました。5926534ベイルジでございます」


 と言われた。


 えっ? ちょっと待って、確かにけっこう量はあるけどそんな高いの?


「ちょっと待ってくださーい」

 と言ってタグに書いてある値段を見る。


そこには『10000ベイルジ』と書かれており隣は『12500ベイルジ』と書かれていた。


 だけど中には『100000ベイルジ』と書かれたのもあった。


 これが何百個もある為こんな値段になったのだろう。


 異世界物価やべぇ〜。


「これくらいで足りますか?」


 と金貨をぶわぁーっと出す。


 大金なのは分かるのだが詳細な値段が分かるわけない。


 だから適当に出す。


「はい、えぇーっと、お釣りが564ベイルジです、お買い上げありがとうございました」


 と言って頭を下げてきた。


 えっ、お釣りが出んの? まじ?


「こちらこそありがとうございました」


 と言ってお店を出る。


 その瞬間


『称号:両手で持ち用の杖の覇者 を獲得しました』


 と機械音声のような声が頭の中に流れてきた。


 うわうわうわ何!? 変な声だなぁー。


 そう思った瞬間、頭痛が走った。


「あでででで……」


 悪かった! 変な声って言ったのは悪かったからやめて!


 徐々に頭痛が治ると、今までの記憶にない情報がある事に気付いた。


「……うーん、なんかめっちゃ〝魔法〟の知識がある」


 もしかして……さっきの称号のおかげ?


 わーお、めっちゃありがてぇ。


 しかも魔法の名前の最初には、なんかよく分からないが【完全《パーフェクト》】と書かれている。


 絶対強いじゃん……なんでこんな魔法が序盤に来るん……?


 まあ、強くなれるんだったらなんでも良いか。


 あと、両手持ち用の杖達は無限収納袋に入れた。いやぁ〜まじ無限収納袋様様っす。


 そう無限収納袋に感謝しながら冒険者ギルドに帰るのだった。

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