8 両手持ち用の杖は巨大な蟲を倒す
ふあぁぁ……よく寝た。
昨日は殺人犯捕まえたんだっけ?
凄いな私。
というかここに来てから私ずっと働いてない?
ツリーウルフ狩って、今度はツリーウルフの大群狩って、そんで殺人犯捕まえて……
私結構働いていると思うのよ。
でも今日はヌセラク大森林で薬草採取するって決めてるから行かなきゃなんだけど……
このギルドミッション終わったら絶対に休もうそうしよう。
さて、んじゃあヌセラク大森林に向かいますか!
そうドアを開けた時だった。
ちょうど隣の部屋の扉が開いた。
部屋の中から出て来たのはスラッとした女性で妙な色気がある人だった。
「あっ、どうも」
こういう時の挨拶は大事だって知ってるぞぉ〜。
ここから始まるストーリーがあるかもしれないしね!
「あら、どうも」
そう言って彼女はニコッとこっちに微笑んだ。
うおぉ、なんかゾクッと寒気がした。
なんなんだこの女性は……
「ねえ貴方」
「な、何でしょうか?」
「〝メルア〟っていう子、知らない?」
あっ、私死んだ。
いやいやいやいや、まだ終わるわけにはいかない。
「しっ、知らないですねぇ〜」
私嘘下手ッ!
「……本当にぃ〜? 知らないのぉ〜?」
あっ、悟られてるなこれ多分。
だけどここで白状したらどうなるか分からない……。
「あっ、私はギルドミッションがあるのでそろそろ……」
そう言って立ち去ろうとする。
「あら、なんてギルドミッションかしら?」
そう言いながら道を塞がれる。
「え、えとー……」
言って良いのかこれ?
否ッ! 良い訳がないッ!
「まっ、迷い猫探しです……」
言ったのがよりによって何でそれなんだよ私!!
「まよいね……何それ?」
よしなんか混乱してるぞ!
「取り敢えず私は! 急いでるのでぇ〜!」
そう言って猛スピードで走る。
「あっ、ちょっと〜!」
と後ろから聞こえたがガン無視する。
捕まれば命が無いとかそういう感じの気配がするからだ。
ヌセラク大森林に向かってひたすら走りまくった。
途中で後ろを確認し、追って来ていない事に安堵する。
「ふぅ〜、マジで死んだかと思ったー」
何だったんだあの女性は。
異世界生活4日目で死ぬとか普通にやだよ?
取り敢えず今、私どこにいるんだろう?
方角は合っているはずなのだが、現在位置が分からないというのは少々怖い。
まあ普通に【
という事で浮く。
うわぁー、地面にいると分からなかったけどここら一体めっちゃ花畑じゃん。
やぁーば、まじ綺麗。
白色やピンク色、赤色にオレンジ色なんかもある。
花の種類は……よく分からない。
分からないとしか言いようが無い見た目をしている。
ナ◯シカの腐海の森の植物みたいな感じなのだ。
ということは……もしかしてヌセラク大森林もこんな感じ?
だとしたらめちゃくちゃやばいミッションになりそうだ。
もし……もし腐海の森に住んでる感じの蟲が出て来たら終わる。
100%失神する。
出てこないのを祈るばかりだ。
取り敢えずヌセラク大森林の方向に向かって【
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
はぁ〜
なぁんでこんな事になっちゃったのかなぁ〜
いや、確かに挨拶したからかも知れないよ?
でもね! 挨拶したら……冒険者ランクSの人にタイマン挑まれるなんて想像できるわけないじゃん!!
そう、今私の目の前には私と戦う気満々の朝見かけた謎の女性がいる。
事は約1時間前に遡る。
【
「でっか!」
木の大きさに圧倒された。
木の太さが2m位ありそうだ。
高さは……高すぎて分からない。
【
雲を突き抜けてるレベルで大きい。
というか予想通りめっちゃ腐海の森な感じの大森林だ。
うわー行きたくねー。
蟲とかマジで出て来たらやばい。
絶対失神する。
まあいざとなったら『自爆杖』で何とかするけどね。
「では! レッツゴー!」
そう叫んで突入した。
さて、ヌセラク大森林に進み約30分が経った頃、薬草はまあまあ集まり、もう少し集めたら帰っても良い具合になっていた。
いやー、なんだかんだで疲れたなぁー。
一旦休憩してから再開しよう。
それにしても、入る前はかなり怖かったけど、いざ入ってみるとかなり幻想的な森で中々に居心地がいいなぁ。
蟲も出てないし、ここに長いこといるのも案外悪く無いかも。
すると、近くでガサガサと音がする。
なっ、何だぁ!?
音がした方向を見ると……
「げっ」
蟲がいた。
しかもかなりでかい。
見た目は…………『黒き悪魔』に似ていた。
別名『G』
無理無理無理無理!!
人間の恐怖の象徴(BIGバージョン)なんかと戦えるわけないだろ!!
簡単に倒せるだろうけどめっちゃ精神的に来るって!
魔法でちゃちゃっと倒したいけど強すぎて二次災害がほぼ確実に起きる。
面倒なのは嫌だからなぁー、どうしたものか。
そんな事を考えている内に巨大Gは近づいて来た。
ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!!!!
来んな来んな来んなぁぁぁ!!
おらっ! 『自爆杖』!
『自爆杖』はしっかり巨大Gに当たったが……
「びくともしてねぇ!」
スピードは緩まる事なく近づいてくる。
やばいやばいやばい!
どうする私!
「うぉぉ! 【
【
やばい! 飛ばされる!
台風の風ってレベルじゃないでしょこれ!
まあ今は【
でもこれ無かったらまじでやばかったな私。
さて、巨大Gはどうなったかなと。
……横転してる。
うわー、足がなんかビキビキ動いてキモい。
SAN値めっちゃ下がったわ。
まあこれなら流石に『自爆杖』も効くでしょ。
ということで腹に向かってバカスカ『自爆杖』を放つ。
一発当たるたびに足がとんでもなくワシャワシャしてさらにSAN値が下がったが、次第に動かなくなった。
っはー! まじで酷い目にあったわー!
あんな蟲がいるならこんなところには居たくはないぜ!
サラダバー!
しかしまた近くでガサガサと音がする。
また蟲!?
そう思い見ると……
とても見覚えのある人物がいた。
そしてその人物は
「あら、偶然ね」
と言うのだった。
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